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丸紅保証書偽造事件

2008年03月31日 10:40 更新

丸紅の支払い保証書を偽造して400億円集めた創薬ベンチャーの子会社

 金融界を駆けめぐっていた大手総合商社・丸紅に絡む大型詐欺事件が火を吹いた。各紙は3月29日、東証マザーズ上場の創薬ベンチャー、LTTバイオファーマ(東京・港)の100%出資の子会社、アスクレピオス(東京・中央)の詐欺事件を報じた。

 アスク社の役員らは、丸紅の支払い保証書を偽造して複数の投資ファンドや個人投資家から400億円の投資金を集めた。しかし、償還の見通しが立たないまま焦げ付き、米大手証券のリーマン・ブラザースは約240億円が回収不能になったという。

 偽造が発覚したのは3月19日。アスク社が東京地裁に自己破産を申請。アスク社は匿名出資組合を通じて投資家から集めた資金を医療機関に貸し付ける医療機関の再生業務が主な事業だった。

 親会社のLTTの発表によると、償還予定だった5億5,000万円が匿名組合の資金不足で投資家に返せず債務超過に陥ったのが原因。負債は52億7,000万円。償還期限が過ぎても資金の支払いがなかったため、投資ファンドが丸紅に確認。投資話が架空と判明したのである。


LTTの創業者は皇室につながる名門一族

 舞台となったLTTは、世間的にはなじみはないが、民主党のマドンナといわれた水島広子・前衆院議員(40)のファミリーが経営する会社といったほうがわかりやすい。彼女は2000年の総選挙で栃木1区から出馬。自民党の大物、船田元氏を破って初当選。1年生議員ながら、マスコミ出演が相次ぎ、代表質問に立つなど話題をさらった。05年9月の郵政総選挙で落選した。

 水島ファミリーは華麗なる一族として有名。広子・前議員の祖父・水島三一郎氏は東大名誉教授で文化勲章受賞者(分子化学)。祖母・水島勅子氏は美智子皇后の父である正田英三郎氏の妹。皇室につながる名門なのだ。

 一族の顔ぶれは医学部教授や研究所所長がずらり。水島広子・前議員も慶応大医学部、同大学院を卒業し、精神科医として母校の講師を務めている才媛だ。父親の水島裕氏(74)は元参議院議員で聖マリアンナ医大名誉教授。その裕氏が、聖マリアンナ医大で発足した研究所を母体に、03年1月に医薬品開発を目的に設立したのがLTT。04年11月に東証マザーズに上場を果した。

 しかし、創薬の成果を上げることができず業績は低迷。その時、登場してきたのが井筒大輔氏(35)である。梁山泊グループによる株価操作事件で、2月13日に梁山泊グループ代表の豊臣春国容疑者(57)とともに逮捕された佐藤克容疑者(32)が社長を務めていた東証マザーズ上場のアイ・シー・エフ(現オーベン)の創業者だ。06年9月、水島ファミリーの資産管理会社で、筆頭株主の水島コーポーレーションと創業者の夫人や長男が売却したLTT株をまとめて取得した。

 井筒氏への株の売却に反発した稲垣哲也社長(61)が辞任。ゼリア新薬工業で研究開発本部長を務めた稲垣氏は新薬開発の中心人物。同時に創業時からのメンバーも去っていった。創業者の水島会長が社長を兼務した。

 井筒氏が水島氏に指南した業績向上の秘策が株式交換方式によるM&A(合併・買収)である。株式交換方式では現金なしで買収でき、買収先を連結決算に組み入れることで、業績の飛躍的アップが可能なのだ。水島氏は、このマジックに飛びついた。

裏上場したアスク社

 LTTは07年5月、アスク社を株式交換方式により9月1日付けで完全子会社化すると発表した。LTTの07年3月期の売上高12億6,700万円に対してアスク社の同期の売上高は50億9,300万円。「小が大を呑む」M&Aだ。その結果、LTTは08年3月期の連結売上高は対前期比4.3倍増の54億4,900万円の見通しになると公表した。

 アスク社は04年9月の設立。資本金は2億1,200万株。52.11%の株を保有するオーナー社長が斎藤栄功氏(46)。山一證券、日本インベスターズ証券、メリルリンチ日本証券を渡り歩き、三田証券取締役経営企画室長を経て独立した金融のプロだ。

 アスク社は丸紅のライフケアビジネス部(旧メディカル事業部)と二人三脚で医療機関の経営支援を行ってきた。アスク社が医療機関向けの融資やM&Aを、丸紅が医療機器を納入する役回りである。

 LTTは6月27日に開いた株主総会で、丸紅のライフケアビジネス部の現役課長だった山中譲氏(34)を新社長に選出した。山中氏は在宅医療機器販売のエムシーメディカルを経て02年に丸紅に入社。アスク社を担当していた。

 新社長に就任した山中氏は、翌7月に丸紅と業務委託契約を締結。丸紅がアスク社に協力していた医療機器販売をLTTが引き続いて行うものだ。

 アスク社が9月1日、株式交換でLTTの完全子会社になった結果、アスク社の社長で大株主だった斎藤氏がLTT株の26.11%を保有する筆頭株主となり副会長に就任した。創業者の水島氏は会長にとどまっているものの、斎藤氏が新オーナーになったのである。

 このM&Aに疑問を呈したのが東京証券取引所。不適当な合併として、LTTを07年9月1日から11年3月31日まで上場廃止の猶予期間入りとした。東証はアスク社による裏上場と見なしたのである。


丸紅との共同事業を装った詐欺

 アスク社の斎藤氏は丸紅と手を組んで、LTTを医療機関向けの投資事業や事業再生事業に変身させることを狙った。斎藤氏や山中氏、それに丸紅の契約社員などアスク社の関係者は、投資組合を設立して投資ファンドや個人投資家から出資を募った。

 その際、LTTやアスク社の社名では信用されないため、丸紅と共同事業で運用するともちかけた。丸紅が元本と分配金を保証する再生事業の枠組みを強調、投資金を返済できない場合は丸紅が肩代わりするとの保証書を偽造して投資を募っていたのである。

 偽造が発覚する直前の3月7日、LTTは山中社長が「体調不良」を理由に退任したと発表。同時に、斎藤氏が1月27日付けで取締役を退任したことをさりげなく付け加えた。

 新社長に就任した増田央郎氏(37)は帝国データバンクや香港の会社を経て、プロジェンスジャパンを設立して代表取締役。07年10月にLTTの取締役に就き、ヘルスケア事業を担当していた。

 アスク社が破産したとき、預貯金は7,200万円しか残っていなかった。400億円以上集めた資金は、医療機関に投資された以外に、どこに消えたのか。巨額な詐欺事件には、黒幕の存在も噂されている。

by yurinass | 2008-04-07 21:28
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