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原油高騰で、灯油などの値上げが相次ぐ中、省エネ防寒グッズが売れ行きを伸ばす一方、燃料や原材料のコスト増を受け、各地の名産品が値上げを迫られるなど、思わぬ影響が相次いでいる。涙ぐましい努力でコスト節減を図る試みもあるが、耐えきれずに倒産する業者も出るなど、事態は深刻化している。
●売れてます 三洋電機が昨年から売り出した「エネループカイロ」は、3時間の充電で約7時間効果が持続し、温度も自在に調節できる商品で、年末商戦を前にすでに品薄状態。東京の通販関連会社が発売する「ぬくぬくレッグマット」の売り上げも好調。スペースシャトルの断熱材に使われている米航空宇宙局(NASA)の技術を転用し、自分の体温で温まることができる。 こうした防寒グッズが売れる背景を第一生命経済研究所の永濱利廣さんは「ファッションばかり注目されてきたウォームビズがようやく浸透してきたことも関係がある」と分析する。 ●思わぬ余波 兵庫県の城崎温泉では7カ所の外湯を運営する豊岡市が、燃料費用が不足したとして、補正予算を組む事態に。瓦の日本三大産地のひとつにもあげられる島根県西部の石州瓦は、高温で瓦を焼く特徴が裏目になり、コスト高が直撃して倒産する業者が相次いでいる。 一方、サトウキビやトウモロコシなどが代替燃料のバイオエタノールとして活用される傾向が進み、原材料となるサトウの価格が上昇。これを受け、広島銘菓「もみじまんじゅう」は今年10月、多くのメーカーが値上げを迫られた。安さ自慢の讃岐うどんも、原料となる小麦農家がトウモロコシなどへ転作が進んでいることで小麦価格が上昇。値上げが進んでいる。 ●省エネ作戦 奈良県トラック協会は今月、加盟各社に「エコドライブ」の徹底を通知。「急発進や急ブレーキをやめ、経済速度(60キロ)の運転を心掛ければ、約15%の燃料を節約できる」という。 ズワイガニ漁を行う京都や鳥取の漁協によると、底引き網漁船は、エンジンの回転数を下げて操業。なかには所属港に帰らず、漁場に近い港を拠点に操業して行き帰りの燃料費を節約する漁船も。休漁日には100キロ離れた家族の待つ自宅へレンタカーで帰る乗組員もいるという涙ぐましい努力も続いている。 ◇ ▼原油高騰の影響 ・湯たんぽや加湿器の売り上げ増(大阪府のホームセンターなど) ・木くず燃料にした暖炉型ストーブ「ペレットストーブ」の売り上げ増(岡山県の暖房機器販売会社) ・石油ストーブとファンヒーターの売り上げ減(大阪府の家電量販店など) ・柿やイチゴなどハウス栽培で温度維持のための燃料コスト増(奈良県の生産者) ・温室ミカンの暖房費節約のため、農家に指導(愛媛県) ・社用車をハイブリット車にしてガソリン代節減(大阪府の中小企業など) ・重油を共同購入、入浴料の値上げも申請(広島県の銭湯経営者ら) ・一部の照明を消したり客に節水を呼びかけ節約(京都府の浴場組合) ・経営に響き、効率化や人件費を抑制(大阪府のクリーニング店) ・製造工程で重油を使うため収益が圧迫、7割が影響(愛媛県の製紙・パルプ業)
by yurinass
| 2007-12-10 08:10
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