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存在感増すM&Aの黒衣 巨大合併の陰、2人の証券マン

 証券会社や銀行が企業の合併・買収(M&A)のファイナンシャルアドバイザー(FA)としての業務に力を入れています。専門チームが財務や会計の知識を駆使して提携戦略などを提案し、企業経営者に助言して手数料を得る仕事です。表舞台に出ることはありませんが、M&Aの「黒衣」として存在感を増しています。



  

 国内最大の百貨店誕生――。業界4位の三越と5位の伊勢丹が経営統合を発表した8月23日、記者会見場には双方のFAのチームの姿があった。

 伊勢丹側のチームを率いるのは三菱UFJ証券投資銀行本部のマネージング・ディレクター、荒井淳一さん(42)。一方、三越側は大和証券SMBCの企業提携戦略部長、赤井雄一さん(46)。百貨店業界に衝撃を与えた統合を陰で支えた2人。M&Aの世界ではともに「やり手」として知られるが、歩んできた道は大きく異なる。

 ■三菱UFJ証券 荒井淳一さん(42)

 東京・大手町の三菱UFJ証券投資銀行本部にはガラス張りの一室がある。米国系のモルガン・スタンレー証券から4月に転職し、約100人の部下を率いる荒井さんのオフィスだ。ここで複数の案件を同時並行で指揮する。「外国人のようなものです。これまで仕事では一度もハンコを使ったことがなかった」

 荒井さんは米国系のリーマン・ブラザーズに11年、モルガンに8年在籍した。東芝と伊藤忠商事の米タイム・ワーナーとの資本提携、山之内製薬と藤沢薬品工業の合併など国内外の多くのM&A案件に携わった。

 バブル景気の88年に大学を卒業。同級生の多くは国内の大手銀行や証券会社に就職したが、「人と違うことをした方が自分の価値を早く高められる」と考え、リーマンに入社。M&Aの仕事に漠然とあこがれていた。

 新人時代は企業価値や業績予想モデルの分析などをパソコンで繰り返し、提案を顧客に示す際のたたき台作りを仕込まれた。米国勤務では「顧客への提案はポイントを3点までに絞り、文章は簡潔に」「質問に即答できないと失格」と教えこまれた。先輩のやりとりを見て交渉術を盗んだ。

 一人前になるには10年以上かかる「実績と経験がものを言う職人の世界」。顧客の意図もくんで適切にアドバイスする。意見も述べるが、最後に決めるのは経営者だ。荒井さんは「孤独な経営者の決断の支援に徹することが、仕事のポイントです」と話す。

 伊勢丹と三越の経営統合は、国境を超える仕事に長年携わってきた荒井さんにとっても「最良の組み合わせです。人生で最も強く印象に残る三つの案件に入ります」。

 国内のFA業務の歴史は浅い。三菱UFJの若手は「経験と成功体験が足りない」。それだけに伊勢丹―三越のような成功を積み重ねて「これまで培ったノウハウを伝え、組織と意識を大きく変えたい」と意気込む。

 ■大和SMBC 赤井雄一さん(46)

 日清食品による明星食品への株式公開買い付け(TOB)、夢真ホールディングスの敵対的買収に対する日本技術開発の買収防衛、山口銀行ともみじホールディングスの統合……。赤井さんの経歴書には、01年以降にかかわったM&Aが40件近く並ぶ。

 最も印象深いのは阪急ホールディングスと阪神電気鉄道の経営統合だ。阪神のFAとして、阪神の大株主だった村上ファンドの動きをにらみながら、阪急側のFAと携帯電話で連絡。週末には両社の首脳同士に会ってもらった。粘り強い交渉は戦後初の大手私鉄の統合につながる。「歴史が変わる瞬間に立ち会えることがだいご味です」

 87~89年に米国の大学に留学し、MBAを取得した。同級生の多くは「卒業したらM&Aの仕事をやる」と話していた。その後、ファンドの買収劇の内幕を描いた本も流行した。「同じような動きが日本でも必ず起きる」と確信していた。

 ところが帰国して始めたM&Aの仕事は、社内でもあまり注目を浴びる部署ではなかった。年1回の取引をまとめたら「できる人」と呼ばれる程度しか、仕事がなかったからだ。

 94年に人事部に異動。経営企画部を経て01年にM&A業務に戻ると、時代は全く変わっていた。

 00年の民事再生法の施行を受け、企業再生の案件を中心にM&Aの仕事が急増していた。民間信用調査会社が「A社、民事再生法を申請」との情報を流すと、すぐに担当弁護士に電話。「FAをやらせてください」

 今年4月に発足した企業提携戦略部は半年で約30件を手がけた。7年以上の経験がある「エース級」を6人そろえ、社内では「グリーンベレー部隊」と呼ばれる。

 振り返ると、阪神―阪急の私鉄統合は百貨店の統合も呼び、業界再編が活発化、伊勢丹と三越の統合にまでつながった。次の目標は「手数料が数億円以上の国境を超えるメガディール」だ。

by yurinass | 2007-11-12 07:46
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