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準大手・中堅建設会社で、繰り延べ税金資産を取り崩す例が相次いでいる。公共工事における「脱談合」後の低価格入札や民間工事の競争激化で収益が急激に悪化しているため。会社の収益計画に監査法人が異議を唱え取り崩しを指示した例も多く、業界の厳しい収益環境を示している。
みらい建設グループ(1792)は売り上げの大半を占める子会社、みらい建設工業が計上していた繰り延べ税金資産を大幅に減らす。〇七年三月期末に繰り延べ税金資産のほぼ全額の四十三億円を取り崩す。 同社は〇七年三月期の連結売上高が前期に比べて一一%減少する。公共工事の低価格入札が続き、受注が減ったためだ。今後の売り上げ見通しも厳しく「将来の収益が不確実なために取り崩した」(経営企画グループ)という。 熊谷組(1861)やピーエス三菱(1871)、若築建設(1888)など、土木工事を事業の中心に据える企業でも取り崩しが相次いでいる。飛島建設(1805)は〇六年三月末の二十三億円から九月末に十九億円に減少。「利益目標額を下方修正したため」と説明する。 繰り延べ税金資産は、将来の法人税等の支払額を減らす効果を持つ会計上の資産を指す。不正会計問題などの影響で、監査法人が監査を厳格化していることが取り崩しの背景だが、建設業界特有の事情もある。 これまでゼネコンが多額の繰り延べ税金資産を計上してきたのは、バブル期の不動産関連事業で多額の損失処理をしたのが要因の一つ。 前倒しで減損処理をし、業績が大幅に回復することを前提に繰り延べ税金資産を計上していたが、本業の業績が急激に悪化しているため、取り崩さざるを得なくなっている。 野村証券の福島大輔シニアアナリストは「有利子負債の削減を中心とした財務リストラは一段落したが、繰り延べ税金資産の多額計上が問題視されていた。取り崩しによる純資産の劣化が、業界再編の火種になる可能性もある」とみている。 (日本経済新聞)
by yurinass
| 2007-03-22 08:26
| 経済状況記事
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