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政府は5日までに、企業が暴力団など反社会的勢力との関係遮断を進める際の具体的な対応策を盛り込んだ指針を策定することを決めた。暴力団が活動資金を稼ごうと証券取引や不動産売買に進出するなか、企業がこうした勢力の資金源になるのを防ぐのが狙い。会社法で企業に整備が義務付けられた内部統制システムの基本方針に関係遮断を明記するよう促していく。
指針は政府の犯罪対策閣僚会議の下に設置された「暴力団資金源等総合対策ワーキングチーム」で策定作業を進める。6月中にも公表する方針。 指針は反社会的勢力から攻撃を受けた際の対応と、関係を持たないようにする具体策を盛り込む。(1)反社会的勢力との関係を遮断する基本的な方針の明確化(2)基本方針の対外的な宣言(3)関係遮断に関する内部統制システムの確立――などが柱となる。 昨年5月に施行された会社法で、資本金5億円以上など一定規模以上の企業は、災害や事故などリスク管理に関する内部統制システムの整備が義務づけられた。しかし、警察庁と全国暴力追放運動推進センターが日本経団連に加盟する企業などを対象にした調査では、内部統制システムの基本方針の中に、反社会的勢力との関係遮断を明記した企業は25.7%にとどまった。 基本方針に明記しなかった企業の多くは「当たり前のことなので明文で規定する必要性を感じない」などと回答したが、警察庁は「会社全体で反社会的勢力との関係遮断に取り組む姿勢を示すためにも明文規定は必要」と判断している。調査では、企業から「書き方が分からない」などの意見もあったことから、策定する指針を参考にしてもらう考えだ。 企業に対する暴力団や総会屋など反社会的勢力による不当な要求は、これまで機関紙の購読や株主総会に絡んだ利益供与などが多かった。最近は資金が豊富な暴力団が一般企業を装って商取引を持ちかけたり、証券市場で株式を取得するなど、資金源をめぐる活動は多様化しており、企業は様々なケースを想定した対応が求められている。 警察庁は「不当要求などを受けた場合、個人に任せるのではなく、会社全体で対応するシステムの構築が不可欠。また、不当要求は内部のトラブルにつけ込むケースが多く、内部の問題を究明・解決する部署も必要だ」と指摘している。 (日本経済新聞)
by yurinass
| 2007-03-06 07:56
| 経済状況記事
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