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敵対的買収への防衛策を導入する上場企業が増えている。二〇〇七年に入り二十社が新たに導入を決定、累計の導入社数は二百社に迫る。世界的なカネ余りを背景に買収ファンドなどによるM&A(企業の合併・買収)が活発になっている。三角合併解禁を五月に控えていることも背景。株主総会が集中する六月に向けて導入に踏み切る企業が増えそうだ。
日本経済新聞社の集計では、導入した上場企業数は百九十七社。「小売り、食品、サービスなど買収の標的になりやすいとされる業種を中心に導入の動きが広がっている」(野村証券の西山賢吾シニアストラテジスト)という。よみうりランドのように不動産など優良な固定資産を比較的多く抱える企業の導入も目立つ。 〇七年に入ってからはアサヒビール、三越、ハウス食品などが導入を決めた。米系投資ファンドのスティール・パートナーズが明星食品に続き、サッポロホールディングスへの買収提案を公表したことも企業に対応を迫る要因となっている。 買収防衛策の導入が本格的に始まったのは〇五年。ライブドアによるニッポン放送株の大量取得などをきっかけに、企業の間で買収に対する緊張が強まった。 当初は取締役会決議のみによる導入が目立った。だが防衛策で使う新株予約権の発行などは既存株主の権利を侵害する恐れがあり、導入には株主の意見を聞くべきだとの指摘が浮上。このため現在では、株主総会に諮って導入するのが主流になっている。 発動、継続を含めると株主総会の判断を仰ぐケースは百二十九社と全体の六五%を占める。いったん導入した防衛策であっても、毎年の株主総会にかけることで、株主の意思を確認する企業もある。〇六年に取締役会決議で防衛策を導入したサッポロHDは最近、総会に諮る方式に変更した。 ▼買収防衛策 経営陣と対立する形で企業の株式を大量に取得する敵対的買収を防ぐための手段。日本では、株式取得に際して買収後の事業計画の提出などを求める「事前警告型」が一般的。このルールに従わない買収者には新株予約権の発行などで対抗する。M&Aの多い米国では、買収後退任する経営者に多額の退職金を支払う「ゴールデンパラシュート」、重要な資産を社外に移す「クラウンジュエル」など、買収者の意欲をそぐ仕組みが発達している。 ■
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by yurinass
| 2007-02-23 07:41
| 経済状況記事
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