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日本銀行が〇・二五%の追加利上げを決めたことを受け、県内経済界では中小企業などへの影響を懸念する声が相次いだ。超低金利が是正され、「経済が正常化に向かう」と冷静に受け止める声がある一方、輸出比率が高い製造業では業績回復の追い風である円安の流れが変わると不安の声が漏れる。過剰債務を抱えたホテル・旅館業などの売却が進むとの見方もあり、先行きに対する不透明感は増した印象だ。
利上げに対し中小企業は不安感をぬぐいきれない。静岡県中小企業団体中央会の井上光一会長は、「総じて借入金依存度は高いのに、収益がしっかり回復していない。もう少し様子見してもよかった」とコメントした。建設業界からは、「公共投資が落ち込むなか、金利負担が重くなる影響は重大」との声が聞かれる。 経済団体からは、「経済の底堅さを踏まえた決定と尊重したい」と日銀の決定を評価する半面、「景気の腰を折ることのないよう経済成長を優先する政策を望む」(松浦康男・静岡県商工会議所連合会会長)という注文を付けた。 中小企業はぎりぎりまで事業再生に着手しないで傷口を広げることが多いとも言われる。「利上げは経営者が腹をくくるきっかけになる面もある」(静岡県中小企業再生支援協議会)。過剰債務を抱える企業は事業売却など抜本的な対策を迫られそうだ。 各地のホテル・旅館の再生にかかわり、北川温泉(静岡県東伊豆町)のホテル買収を決めたパルアクティブ(東京・新宿)の斉藤幹夫会長は、「利上げで伊豆など観光地の売却物件は確実に増える」とみる。利子だけを支払い経営を続けた企業などが、「わずかな金利上昇に耐えられない恐れがある」(金融関係者)。地域金融機関が不良債権処理を加速することも考えられる。 (日本経済新聞)
by yurinass
| 2007-02-22 08:32
| 経済状況記事
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