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by yurinass
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2008年 03月 03日 ( 8 )


「中小企業」とは何か

 日経ものづくりの3月号の特集「できる中小企業 苦悩力が生むR&D」の取材チームに参加し,研究開発に熱心な中小企業の社長さんや識者の方々を取材した。この特集では,中小企業は厳しい環境の中で苦悩しながらも,長期間にわたって研究開発を続けられるなど,大企業よりもむしろ研究開発に向いているのではないか,といったことをケーススタディー中心に浮き彫りにしている。

 その内容についてはできれば本誌をお読みいただくとして,実は取材をしていて,ある疑問が頭をもたげた。そもそも,「中小企業」って何だろうか,ということだ。法律によると,製造業における中小企業の定義は,資本金が3億円以下で従業員数が300人以下となっているようだが,そうした定量的な線引きではなく,「中小企業」を「中小企業」たらしめている特徴があるはずだと思ったのである。本稿ではそれを考えてみたい。

中小企業とは「ニッチにこだわる」存在である
 まず思ったのは,取材をさせていただいた多くの中小企業が,「ニッチで生きる」ということを語っていたことである。もちろん,大企業の中にもニッチを目指しているところはあるが,中小企業の方が,ニッチ戦略との相性はいいようだ。

 会社の規模と会社が扱う事業の規模の間には相関があると考えれば,中小企業の扱う事業規模は,必然的にニッチとなる。中小企業とはいっても成長して事業規模が大きくなるに伴い,ニッチ戦略はとりにくくなるが,それでも「ニッチ」にこだわるところに,中小企業らしさが表れているように思った。

 例えば,特集取材の一環で,ある中堅規模の電子材料メーカーを取材した。その会社は,60年ほど前に創業し,少しずつ大きくなって今は従業員数が400人を超える企業に成長したが,先代社長の時代から「マスは狙わずにニッチで生きる」という方針を貫いているという。2代目の現社長は,そうは言っても会社の規模が大きくなるにともなって,「ニッチ」のレベルが変わってきたのだとして,次のように語った。

「一商品で年商数千万円もあれば十分といった感じだったのが,だんだん会社としてのガタイが大きくなってくると,ニッチとは言ってももう少し大きな分野を狙うようになってきます。そうなると,それまでの小さな市場では経験しなかったような競合相手に遭遇するようになります。小さな池では競争もなくのんびり暮らしていたのが,少し大きな湖に出たとたん敵がウヨウヨいる,といった感じでしょうか。そうなると敵に勝つ戦略が必要になる。ウチのような中小企業でもR&Dに力を入れているのもその一つです」

 またこの社長が話したことで面白いと思ったのは,「なんでも取り扱う総合デパートにはなりたくない」と言ったことである。この会社が扱う分野はそれほど大きなものではないが,顧客が求めることをすべてワンストップ・ソリューションで応えようとは思っていない。

 このことから,成長とともに資金力や投資力に余裕が出てきたときに,「総合デパート」を目指さずに,自らの得意技をさらに磨きニッチを深耕するためにその資金を利用しようとするのが「中小企業」としての姿勢ではないかと思った。

中小企業とは「連携」する存在である
 数多くの中小企業が自らの得意分野に特化してニッチに生きる状況において,ある中小企業が,顧客から自分が扱っていない製品について相談を受けたらどうするだろうか。他社を紹介することにより,全体として産業分野全般をカバーするようになる。こうした横の連携による産業集積が中小企業のもう一つの特徴である。

 今特集では,元日経エレクトロニクス編集長で現在は早稲田大学客員教授などを勤める西村吉雄氏に取材させていただいたが,同氏は,製造業の中で中小企業がどう位置づけられてきたかを歴史的に展望してみると,製造業そのものが,そもそも中小企業による連携からスタートした,と分析する。

 製造業の起源は,18世紀終わりから19世紀のはじめごろのイギリスにおける産業革命の時代に遡ることができる。その時代,リバプールやマンチェスターといった地域で,多くの創業者が自分の得意技をいかして中小企業を設立し,自分の手に負えないものは他社に回し合うという構造ができあがった。西村氏はその連携の構造は,現在日本の大田区あたりの中小企業の構造と基本的には変わらないのではないか,と見る。

 その意味では,中小企業は,製造業の「原型」のような存在であり,産業構造としては「水平分業」が当たり前であったのである。そしてその基本的な構造は日本でも欧米でも変わらない。

「大企業」の出現と日米産業構造の差異
 20世紀になり,製造業は米国で異なるフェーズに入った。1社がすべてを抱え込む垂直統合型の大企業が出現し,大量生産方式が優位を持つようになったのである。各社が中央研究所を設立して,研究開発から製造まで一環して自社内で行うようになった。規模が大きい方が取り引きコストを低減でき,付加価値の流出を抑えられ,企業利益を極大化できたためである。しかし,そうした大企業の優位性は,「ある時期のある特殊な条件下で,たまたま成り立ったものではないか」と西村氏は見る。

 筆者はこれを聞いて,このあたりから日本と米国の間で「中小企業」ひいては「企業」に対する考え方の差がでてきたのではないか,と思った。

 米国では大企業優位の時代になったときに,自社内にそれまで「中小企業」がやっていたことを取り込んだと思われる。おそらく多くの中小企業が消滅したであろう。それに対して日本は,中小企業の存在は残したまま,大企業の下請けとして,ピラミッド構造の底辺に位置づけた。大企業自体も垂直統合を進めたのだが,そのさらに底辺に中小企業群を配した。その中小企業はそもそもの特徴である「水平分業」の要素を持ち,大企業の要望に対してフレキシブルに効率的に機能した。つまり,大企業と中小企業を合わせると巨大な垂直統合構造に見え(「擬似垂直統合」と言ったほうが良いかもしれない),内部には水平構造構造をもった巧みな構造を構築した。これが日本の製造業の強みとなったと考えられる。

 ただこの日本の製造業の構造も,西村氏の言葉を拝借して言えば,ある時期のある条件下でのみ優位性を持っているに過ぎない,ということになる。絶対普遍の勝利の方程式ではなかったのである。それが一部の日本の製造業が競争力を落としている一つの要因であるとも考えられる。

ITによる取り引きコストの低下
 その変化はやはり米国で起こった。変化の原動力になったのはITである。電子メールが発達し,様々な研究・設計・生産情報が瞬時に地球の裏側に送れるようになって,取り引きコストが低減し,必ずしも大企業による垂直統合モデルが優位性を持たなくなってきた。大企業の優勢が揺らいできたときに,ここでも日米では対応に差が出た。

 その差が一番顕著に表れたのが半導体産業だったと西村氏は見る。半導体という新しい技術をどの企業が製品化したかを見てみると,米国ではかつての真空管メーカーではなく,シリコンバレーで設立された「中小企業」が製品化した。すべてを自分でまかなうことはできないから,特に,研究開発を大学に任せることにより連携を深めた。これに対し,日本では,かつての真空管メーカーである「大企業」がひきつづき,半導体も製造したのである。

 米国の半導体メーカーは今では規模的には大企業であるが,精神としては「中小企業」ではないかと思われる。その基本的な考え方は,冒頭で筆者が紹介したニッチ戦略をとる日本の中小企業と変わらないと思われるのである。

「総取り」は許さない新ルール

 ニッチ戦略の基本は,ある領域を定めてその線から出ないということだが,それに関連して筆者の同僚の編集委員であるN氏から興味深い話を聞いた。米国では,「総取り」を許さないという雰囲気があり,それを回避する仕組みの一つとして,「当社のカバー範囲は,ここからここまで」ときちんと線引きしている。そしてその一線を超える行為に対しては厳しい目が光っているというのである。

 それを表している例としてN氏が示したのが,『日経ビジネス』2008年2月4日号の「ソニー,いよいよ復活か」という英Financial Times紙の翻訳記事である(p.114)。その中でCEOのハワード・ストリンガー氏が,独自規格にこだわって音楽ネット配信サービスの失敗を招いた状況について,「我々は独自規格を作ろうとして,ソニーが何かを我が物にしようとしているという印象を世界に与えてしまった。それは誤った決断だった」と述べている。その上で,映画や音楽,ゲームを様々なソニー製品にダウンロードできるサービス「プレイステーション(PS)ネットワーク」では「オープン規格」で行くことを強調している。

 このくだりを聞いていて思ったのは,ひょっとしてソニーはすべてを取り込む「大企業」の意識で,流れが「中小企業」化している世界に乗り込んで,手痛いしっぺ返しを受けたのではないか,ということである。「大企業」になる方法は米国に学んだのに,いつの間にかその米国ではルールが変わっていた,ということなのかもしれない。そして,その米国の新しいルールの背景にあるのは,各企業が「連携」することの重要性を認識していることではないかと筆者には思えた。

中小企業とは「人」が主役になる存在である
 今回の取材を通じて感じたもう一つの中小企業の特徴が,中小企業は「人が主役」ということである。もちろん昨今では,大企業も「人」を強調する。たまたま,この記事を書きながら,テレビを見ていたら,テレビ東京の「ガイアの夜明け」という番組で,ある大企業が社内運動会をしているシーンが流れ,担当者の方が,「ものづくりは結局,『人』です」と語っていた。会社の規模に変わりなく,「人」は重要である。

 それでも「個人」の重要さのレベルが中小企業では大きい,と考えられる。今回の特集取材で,大企業から中小企業に社員として転職した方が,中小企業と大企業の違いは,事業判断を「組織」がしているのか,「個人」がしているのかの違いではないか,と言っていた。中小企業では社長はもちろん,社員であってもある商材についての全責任を持たされることが多く,個人の思い入れで事業判断する機会が多いと感じている,と語った。

 そもそも中小企業は,創業者という「個人」が何らかの得意分野(新技術,新ビジネスモデルなど)を引っさげて,強い熱意のもとに設立されたものである。先ほど見たように,米国では,新しい技術の事業化のフロントランナーは大企業よりも中小企業が担っている。

 背景としては,資本主義の形態が,産業資本主義から知識資本主義に変わりつつある点が挙げられるのではないか,と前述した西村氏はいう。産業資本主義の時代における価値を生み出す源泉は「工場」にあるが,知識資本主義の時代は,より「個人」が生み出す知識が重要性を増してくると同氏は見る。もちろん,いつの時代でも「人」が重要であることには変わりがないが,その重要度の度合いがますます高まっているということのようである。そうした中で,「個人」を前面に出しやすい中小企業の存在感は高まっていくだろう。

 以上見てきたように,時代の流れは,「大企業」から「中小企業」に移って来ているようだ。こうした流れの中で,日本の中小企業は,大企業の傘下に入ることによって独自の発展を遂げてきた面がある。もちろんそれは,日本の製造業の競争力の源泉になっているが,その一方でそれをベースとしつつも,その傘の外の世界で活躍する余地と可能性はもっとあるのではないか,とも思うのである。
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by yurinass | 2008-03-03 10:13

中国から「夜逃げ」も 韓国企業、3割が撤退検討

 中国に進出している韓国企業の経営環境が人件費急騰などで急速に悪化している。韓国商工会議所が会員企業350社を対象に行った調査によると、約3割が中国からの撤退を検討あるいは準備と回答した。韓国企業が多い山東省では正式な清算手続きを踏まずに「夜逃げ」するケースも増えている。

 2月に行われた同調査によれば、進出企業の約86%が「今後中国の企業環境は悪化する」と回答した。昨年3月の調査で「悪化する」としたのは約33%。過去1年間で悲観的な見方が急速に広がった。

 この背景には中国の労働契約法施行などによる人件費上昇のほか、税制などで外国企業への優遇措置がなくなったことなどが指摘されている。特に対応策が遅れている中小企業の経営悪化が顕著だという。(時事)
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by yurinass | 2008-03-03 09:59

中小金融3法改正案を閣議決定

 政府は29日の閣議で、中小企業の資金繰りや再生を支援するための中小企業金融三法改正案を決定した。中小企業信用保険法改正案と中小企業金融公庫法改正案では中小が保有する売掛債権の早期現金化を促し、短期の資金需要に対応する。信用保証協会法改正案では信用保証協会の民間再生ファンドへの出資などを容認し、協会を企業再生の新たな受け皿とすることを狙った。今国会での成立を経て、今夏の施行を目指す。(
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by yurinass | 2008-03-03 09:10

農産食品取引促進で協力  テジャリとコファス・エジプト

◎農産食品取引促進で協力  テジャリとコファス・エジプト

PR29414
JBN 外0240(産業、B2B)(08・2・28)
【産業担当デスク殿】29414

◎農産食品取引促進で協力  テジャリとコファス・エジプト

【カイロ27日PRN=共同JBN】世界の新興市場向けの有力なオンラインB2B(企業間)市場であるテジャリ(Tejari)はフランスの多国籍グループ、コファスの最新企業であるコファス・エジプト(Coface Egypt)およびその1部門で有力な世界的B2B検索エンジンのコンパス・エジプト(Kompass Egypt)との間で、エジプトの農産食品業界向けにオンライン取引プラットフォームを開発するための了解覚書に調印した。
 農産食品事業チャンネルは分野特定の共同体ポータルとなり、中小企業と世界のバイヤーを結ぶために待望されていた「供給チェーン」接続を提供する。エジプトの農産食品供給チェーン全体の全企業を含む農産食品業界の「ワンストップ・ショップ」として設計されるこのオンライン・ポータルは、手ごろな価格で革新的な取引プラットフォームとなり、この地域で営業活動している広範な企業のために貿易障壁を取り除く。
 テジャリのオマル・ヒジャジ最高経営責任者(CEO)は「農産食品はエジプト経済の中心であり、エジプトの年間貿易収入の50%以上を占め、取引総額は15億1400万ドルに上る。今回の提携は、農産食品のバイヤーに世界の新興市場の売り手に対する直接的なアクセスを提供するこの新しい強力なプラットフォームによって、エジプトにおけるこの業界の取引を増大させるための重要なステップである。エジプトの農産食品売り手も、中東最大のオンライン・バイヤー・ネットワークに接続できることから利益を受けられる」と述べた。
 同CEOはさらに「この革新的な市場はエジプト全土の農産食品業界で活動している企業を最大で15万社引き寄せるだろうと予測している。テジャリはコファス・エジプトとともに農産食品向け取引共同体ポータルの構築に成功し、業界の取引を大幅に増大させ、エジプト全体の世界的な電子対応ランキングを引き上げられると考えている」と語っている。
 この独占的な共同体のメンバーは、オンライン取引プラットフォームで世界のバイヤーに直接接触できるほか、農産食品分野で活動する中小企業が必要とする農産食品関連のあらゆる知識、ニュース、情報への直接リンクを提供する知識センターである農産食品供給チェーン・オペレーターの包括的データベースにアクセスすることもできる。
 コファス・エジプトのJ・ドラ・フィアニCEOは「われわれは新しい技術を利用して取引をもっと簡単にし、エジプト農産食品業界を発展させることを目指している。農産食品は最も急成長している部門でありエジプトの中心的な輸出資源だが、これまでは増大するエジプトのインターネット能力の利用で大きく立ちおくれていた」と述べている。
 また農産食品共同体のメンバーは、オンラインでビジネス取引を行うためにテジャリから訓練を受け、資格を与えられた企業や個人であることを示す資格や「eレディー(e-Ready)」(商標)マークを受けられるテジャリの電子対応訓練プログラムに参加することができる。
 新興市場向けの有力なオンラインB2B市場でドバイ政府が開設したテジャリは、ドバイの革新的な精神の好例である。同社はドバイの飛躍的な経済成長の多くを担っている持株会社「ドバイ・ワールド」で最も成功している部門の1つである。
 コファス・エジプトは世界の有力なB2Bネットワークであるコンパス・インターナショナルが運営しており、現在はコファス・グループの支配下にある。J・ドラ・フィアニ氏がフィアニ&パートナーズ・コンパス・エジプトとして創立した同社は1986年にビジネス金融情報・サービス分野のパイオニアとしてエジプト市場と地域内のいくつかのプログラムで主導権を確立しており、今後は同氏の経営下でコファス・エジプトが拡大することになる。2008/2009年のコファス・エジプトのプログラムは、オンライン、オフラインの世界的な信用情報と格付け、中東地域的生産事業信用情報プラットフォーム、中東地域地域生産受取債権管理プラットフォームである。
 この強力な組み合わせは、農産食品業界、企業の大部分を占める中小企業、およびエジプト経済全体の発展に直接的で永続的な影響を及ぼすだろう。
 ▽テジャリについて
 テジャリは新興市場の有力なB2Bオンライン市場の1つである。テジャリによってバイヤーとセラーは取引を行い、安全なインターネット環境でさまざまな商品、サービスについての情報を共有できる。テジャリはバイヤーとサプライヤーのオープンで成長する共同体に1つの接触ポイントを提供し、参加者がリアルタイムで新市場にアクセスできて、より大きなコスト削減ができるスポット購入、オンライン・オークションを可能にする。ウェブサイトはhttp://www.tejari.com。
 詳しい情報は以下へ問い合わせを。
Howaida Rabee
Events Manager
Tel: +971-4-391-3777
e-mail: Howaida.Rabee@tejari.com
Hill and Knowlton
Rania Helmy
Account Manager
Tel: +971-4-3344930
Email: rania.helmy@hillandknowlton.com
(了)

▽問い合わせ先
Howaida Rabee,
Events Manager of Tejari,
+971-4-391-3777,
Howaida.Rabee@tejari.com;
Rania Helmy,
Account Manager of Hill and Knowlton,
+971-4-3344930,
rania.helmy@hillandknowlton.com,
for Tejari
Web site: http://www.tejari.com
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by yurinass | 2008-03-03 08:28

内部統制プロジェクト~監査の実務指針を踏まえ、評価設計を~

出展:日本総合研究所ホームページ(http://www.jri.co.jp/)「研究員のココロ (株)日本総合研究所 主任研究員 小坂 真 2008年2月25日付」より

 平成20年4月から導入される、金融商品取引法に基づく、財務報告に係る内部統制報告制度の開始まで、残り1ヶ月あまりとなった。特に3月決算の対象企業については、4月1日からの適用初年度開始に向けて、残された業務プロセス等の文書化作業のほか、初年度のスケジュール策定、体制設計のフェーズに入りつつある。
 昨年10月、日本公認会計士協会より、監査・保証実務委員会報告第82号「財務報告に係る内部統制の監査に関する実務上の取扱い」(以下、監査実務指針と称する)が公表され、監査法人側の内部統制監査に関する具体的な取組み方法についても、徐々に明らかになってきている。直近では、各企業と監査法人との間で、初年度の評価範囲の考え方についての意見交換も実施されつつある模様である。
 この監査実務指針を踏まえて、評価範囲の決定方法に関するいくつかの論点を例にとって述べる。

1 全社的な統制の評価範囲の決定における「僅少な拠点」の判断基準について

 内部統制評価の実施基準2.(2)では、全社的な内部統制の評価範囲として、「財務報告に対する影響の重要性が僅少である事業拠点について、その重要性を勘案して、評価対象としないことを妨げるものではない」とされているが、企業がどのような基準で「僅少」を判断するかが論点となっていた。監査実務指針7(2)で、「監査人は、財務報告に対する影響が僅少であるかどうかは、金額的側面と質的側面の両面から検討する必要がある」とし、量的基準については、一定の数値基準(連結売上高等に占める割合等)に基づく場合には、「除外した事業拠点の合計」が連結ベースでの財務報告に与える影響も勘案しなければならない」とされた。
 このことから、企業側は、事業拠点を量的基準に基づき全社的な統制の評価範囲から除外する場合には、除外部分の合計での影響が「僅少である」ことをチェックしておく必要がある。
 残念ながら「質的側面の検討」の具体的内容については、監査実務指針にも新しい情報は盛り込まれていなかった。量的基準では除外可能であっても、財務報告の数値に関わる虚偽記載が発生するリスク要因が他に存在しないか、「財務報告の判断に密接に関わる事項」等、財務諸表数値以外の虚偽記載に繋がるリスク要因が当該拠点に存在しないか等を中心に検討を行い、「質的にも僅少」なことを、監査人と十分に協議し、確認しておくことが重要である。

2 「事業目的に大きく関わる勘定科目」について

 実施基準は、売上高等の重要性により、全社的な内部統制が有効である場合には、概ね内部取引消去後の売上高の2/3程度をカバーする範囲を持って、重要な事業拠点を選定し、重要な事業拠点については、「企業の事業目的に大きく関わる勘定科目」とそれに至る業務プロセスを原則すべて評価対象とすることとされている。
 実施基準では、一般的な事業会社の場合の事業目的に大きく関わる勘定科目として「売上高、売掛金、棚卸資産」が例示されていたが、特に製造業においては、「固定資産」も重要な勘定科目として定義されるのではないかという議論があった。監査実務指針(3)②アでは、この点について、「製造業や一般的な事業会社の場合は、通常例示されている3つの勘定科目を事業目的に大きく関わる勘定科目とすれば足りる」との見解が示され、製造業で固定資産に関わる業務プロセスを評価対象とするかは、「個別に評価対象として追加する業務プロセス」として検討すればよいとの考え方が、趨勢となってきているようである。

3.事業目的に大きく関わる勘定科目に至る業務プロセスの一部除外について

 2に述べたとおり、事業目的に大きく関わる勘定科目に至る業務プロセスは原則全て評価対象となるが、「重要な事業拠点が行う重要な事業又は業務との関連性が低く、財務報告に対する影響の重要性も僅少である業務プロセスとして評価対象から除外できる」場合がある。この点について、監査実務指針は「各重要な事業拠点で、評価対象から除外した取引種類に関連する事業目的に大きく関わる勘定科目残高が各事業拠点の事業目的に大きく関わる勘定科目残高に及ぼす影響度」もしくは「各重要な事業拠点で、評価対象から除外した取引種類に関連する事業目的に大きく関わる勘定科目残高の合計が事業目的に大きく関わる勘定科目の連結財務諸表残高に及ぼす影響度」のいずれかの方法又は組み合わせに基づき経営者が毎年継続して判定している場合には、「監査上妥当なものとして取り扱うことが適当である」とされた。
 例で述べれば、重要な事業拠点Aの売上高40、同Bの売上高30、連結財務諸表売上高100 として、除外できる残高への影響度基準を例えば売上高の5%とするならば、Aから5%(すなわち2)、Bから5%(すなわち1.5)の範囲で除外するプロセスを選定するか、ABあわせて除外したプロセスを合計し、連結売上高の5%(すなわち5)以下となるような範囲で除外するプロセスを選定するか、いずれの方法も妥当と認められると考えられる。
 この点についても、評価範囲の具体的基準について、監査実務指針の公表により一歩進んだ感がある。

 各企業とも、内部統制の整備作業に追われているところであるが、適用初年度を前に、監査実務指針の内容を吟味し、「自社の評価結果を監査人はどのように監査を行うのか」について十分な検討を行い、また担当監査人と、実施基準や監査実務指針の記載を根拠としてコミュニケーションを行うことが、本制度の初年度評価をクリアする上で極めて重要になってきていると考えられる。
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by yurinass | 2008-03-03 08:12

アルピコ債務超過額を修正、9億円減 アドバイザー報告

 グループ全体で多額の債務超過状態に陥り、取引金融機関に支援を求めているアルピコグループは29日、事業再生計画案の合理性などを調べたアドバイザー(4人)が、金融機関に調査結果を伝える説明会を松本市内で開いた。同グループによると、アドバイザーはグループが当初算出した実質債務超過額182億円は過大だとして173億円に修正した上で、計画案には合理性が認められると報告した。

 非公開の説明会終了後に取材に応じたグループ中核企業、松本電鉄(松本市)の弁護士らによると、当初算出した実質債務超過額には役員の退職慰労金が計上されていたほか、不動産評価額にも修正が必要な点が見つかったという。

 修正の結果、8金融機関のうち7機関に求める債権放棄額は減少。メーンバンクの八十二銀行(長野市)は1億円増の86億円となった。同行融資部は「他の金融機関から、メーンバンクとして若干多く負担してもらいたいという要望があったため」としている。

 公平な第三者として計画案を検討するアドバイザーは「私的整理に関するガイドライン」に沿い、1月の第1回債権者会議で選任。松本電鉄の滝沢徹社長は取材に「(再生に向け)一歩前進したかなと思うが、よりご理解いただけるよう真摯(しんし)に対応したい」と述べた。

 この日は8金融機関の担当者やアルピコグループ役員らが出席。各金融機関からは債務超過額やその内容について説明不足だとの指摘も出るなど、会議は4時間半余に及んだ。アルピコ側は3月26日に開く第2回債権者会議で、事業再生計画案に同意し、債権放棄などに応じるかどうか各金融機関の判断を集約したい考えだ。
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by yurinass | 2008-03-03 08:10

アルピコ債務問題 再建計画「妥当」

第三者アドバイザー、8金融機関に報告


債権者への説明会後、会見する滝沢徹社長(29日、松本市で) 大幅な債務超過が明らかになった「アルピコグループ」の再建計画案を検証してきた第三者のアドバイザーは29日、「妥当と認められる」とする検証結果を、債権者の8金融機関に報告した。各金融機関は、この報告を参考に金融支援要請の受け入れ可否を判断し、3月26日の第2回債権者会議で回答する。182億円とされていた債務超過額はアドバイザーの指摘で、173億円に修正された。

 アドバイザーによる金融機関を対象とした説明会は、松本市内のホテルで、非公開で開かれた。終了後、グループの中核である松本電気鉄道の滝沢徹社長、再建計画案の立案に携わったコンサルティング会社「フロンティア・マネジメント」(東京都)の大西正一郎代表と南賢一弁護士、八十二銀行の大井正季・企業支援室長が記者会見した。

 南弁護士らによると、弁護士3人、会計士1人で構成するアドバイザーは、債権者の負担の公平性、今後の事業計画の実行可能性などについて、「私的整理ガイドライン」の成立要件を満たしているとして、「妥当性がある」という結論を報告したという。

 再建計画案の詳細は、この日も明らかにされなかった。

 債務超過額の修正については、不動産の評価に誤りが見つかったほか、グループの役員退職慰労金の計上をやめたことなどが理由という。

 債務超過額の修正などに伴い、各金融機関の負担割合も見直され、メーン銀行の八十二銀行については増額、他の7金融機関はいずれも減額された。八十二銀行の金融支援は約1億円増え、116億円となる。

 大井室長は、「メーンとして若干、負担してほしいという他行からの要望があった」と説明した。

 アドバイザーから再建計画案に“お墨付き”を受けた形の滝沢社長は「一歩前進したと思っている。金融機関の方々に同意していただけるよう、一層の努力をしていきたい」と話した。

(2008年3月1日 読売新聞)
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by yurinass | 2008-03-03 08:09

IT業界における粉飾決算のイロハを事後的に学ぶ

 2008年2月初旬に,アスキーソリューションズ(以下,AS社)の有価証券報告書などに虚偽記載があるとして,同社から訂正報告書が提出されました。同報告書に掲載されている財務諸表数値の概要を示すと図1のようになります。


図1●AS社の2会計期間における財務諸表数値の概要

 訂正理由としては,次の事項が列挙されていました。

(イ)架空売上の計上
(ロ)違約金損失の未計上
(ハ)債権残高の回収


 別に,本コラムでAS社の財務分析を行なおうというのではありません。売上高や総資産が20億円前後では規模が小さすぎて,分析のブレが大きくなります。かといって「兆」単位の大企業では“too big to find”,つまり,大きすぎて粉飾決算の要素を事前に見つけることは不可能です。

 粉飾決算しようという企業の側も必死なのですから,入門書レベルの知識で企業の外側から粉飾決算の気配を嗅ぎ取ろうとしても,ほとんど徒労に終わります。それでは身も蓋もない話になってしまうので,AS社の訂正報告書を参照して,虚偽記載の「イロハ」を事後的に学んでみることにしましょう。


粉飾決算としては至ってオーソドックス

 まず,最終ユーザーの検収を受けずに1億3600万円の売上高を計上して,それを取り消した,とするのが「(イ)架空売上の計上」です。図1において赤く塗った部分がそっくり対応しています。これと表裏の関係にあるのが,「(ハ)債権残高の回収」。すなわち,別会社に仕入代金として1億4700万円を支払い,その別会社を経由して,「(イ)架空売上の計上」に係る売掛金1億3600万円を回収したように見せかけたというもの。

 「(ロ)違約金損失の未計上」は,最終ユーザーに支払った違約金6000万円を特別損失とすることなく,ソフトウエア購入代金として仮装し,無形固定資産へ計上したというもの。図1において黄色で塗った部分に現われています。(ロ)と(ハ)を合計すると約2億円なり。図1において青く塗った部分が対応しているのでしょう。

 粉飾決算の「イロハ」としては至ってオーソドックスです。

 筆者は当初,AS社では「循環取引」が行なわれていたのかな,と推測しましたが,訂正報告書から窺(うかが)い知ることはできませんでした。2006年3月に企業会計基準委員会から『ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い』が公表されているので,循環取引もおいそれとはできない,といったところなのでしょうか。

 循環取引とは,倉庫に保管してある(有形の)商品を動かすことなく,仲間うちで転売していくことをいいます。期末近くに売上高を計上し,翌期に「返品」ではなく「買い戻し」を行なうのが,循環取引を利用した「粉飾決算の超初級編」です。

 有形の商品で循環取引を行なう場合は倉庫保管料が付随するので,それなりの資金負担を覚悟する必要があります。ところが,ソフトウエアの循環取引ともなると,何しろ商品は「無形」ですから倉庫保管料を要せず,消費税に係る資金負担さえ気をつけていれば何とかなる,といった特徴があります。しかも,IT関連の新興企業ともなると,黒字か赤字かよりも売上高の伸びが重視されるので,循環取引に対する誘因は一層強くなるといえます。たまに新聞報道などで目にしますよね。

 AS社の例はオーソドックスな手法といえるので「会計監査を担当していた公認会計士は何をしていたんだ!」という声が聞こえそうですが,公認会計士だって人間。顧問先企業から「タカダせんせぇ~,今回だけは見逃してくださいよぉ」と懇願されたら,「しょうがねぇなぁ」と腹をくくり,「男は一度,勝負するものだ」と腕まくりをして,結局,何度も勝負する慣習が生まれます。

 要は,何かあったときには取り乱したりせず,覚悟を決めておくことなのでしょう。

 ところで,今回「アスキー」という名を聞いて郷愁の念を抱
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いたのは筆者だけでしょうか。筆者が初めて購入したマシンはシャープの「MZ-2000」というもので,「アスキー」という雑誌を買って「もぐら叩きゲーム」を喜々としてプログラミングしたのを,いまでも覚えています。

 キーボードの「Tabキー」の左から順に“QWERTYUIOP”とキーが並んでいることに感動を覚えたのも,その頃でした。これらの一部を組み替えると“TYPEWRITER”。タイプライターを発明した会社が,自らのセールスマンに早打ちの実演をさせるためにキーボードの配列を決定した,というのは昔から語られている話。ジョークという説もありますが,実際のところ,どうなんでしょう。
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by yurinass | 2008-03-03 08:06