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2008年 02月 27日 ( 13 )


シティグループ、年次報告書で損失の詳細を開示

 ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米シティグループ(NYSE:C)は22日夜に提出した2007年の年次報告書で、投資銀行部門のトレーダーが同年、1日に1億ドル超の損失を出していた日が15日あったと明らかにした。

 シティは25日、これらの詳細について言及を避けた。この報告書は、シティが昨年、約200億ドルの評価損を計上し、チャールズ・プリンス氏が最高経営責任者(CEO)を辞任し、株価の下落につながった問題よりさらに深刻な問題を抱えているとの懸念に拍車をかけた。

 調査会社クレジットサイツのアナリスト、デビッド・ヘンドラー氏は、シティのトレーディング損失の公表に落胆の声を上げた。

 投資家は添付資料を除いても200ページを超えるシティの年次報告書を消化し、シティ株の25日終値は前週末比0.38ドル(1.51%)安の24.74ドルとなった。トレーディングの失態のほかにも、投資家はシティの08年のさえない業績見通しに加え、住宅ローン、レバレッジドローン(低格付けあるいは格付けのない借り手を対象としたシンジケートローン)、商業用不動産にかかわる損失を出すのではないかと懸念している。

 ヘンドラー氏は「シティが格闘している問題はあまりに多い。誰もが情報開示を望んでいるが、開示されると一層気が重くなる」と語った。

 銀行や投資会社は通常、日々のトレーディング損失の金額や頻度を公表し、予測の難しい取引にかかわるリスクの大きさを測る目安を投資家に提供している。トレーディング損失の一部は、数カ月にわたりほぼすべての金融各社に痛手を与えている、変動の激しい市場環境を反映している。

 こうした見地に立つと、シティの一連の損失は決して大失態とはいえない。住宅ローン市場の混乱が金融市場を揺るがし始めた昨年8月、モルガン・スタンレー(NYSE:MS)は1日に3億9000万ドルのトレーディング損失を出した。これは自己勘定による株式の定量的トレーディングを手掛けるチームによるもので、6-8月期(07年11月期の第3四半期)の損失額は4億8000万ドルとなった。同社によると、同四半期の間、1億2500万ドル以上の損失を出した日は4日、同額の利益を出した日は8日あったという。

 シティの広報担当者は25日、声明で「トレーディングにかかわる情報開示は、07年の市場の変動の大きさを浮き彫りにしている。多額のトレーディング利益を出した日は多く、1億ドル以上の収入増となった日は55日以上あった」とした。

 いずれにせよ、シティはこのところの評価損やその他の損失で、ずさんなリスク管理の象徴となった。シティは昨年11月、長年最高リスク責任者(CRO)を務めていたデビッド・ブッシュネル氏に代えて、シティでやはり長くリスク管理を担当していたジョージ・ベルムデス氏をCROに就任させた。

 元世界銀行総裁で現在はシティのシニアアドバイザーの肩書きを持つジェームズ・ウォルフェンソン氏は24日夕方、マンハッタンで開かれた催しで「多くの金融会社の経営陣は、何が起きているのかを知る手掛かりがなかっただけだと思う」と語った。また同日のインタビューで「シティだけではなく米金融大手全般を指した」と付け加えた。

 アナリストや投資家は、昨年12月にシティの最高経営責任者(CEO)に就任したビクラム・パンディット氏に、業績改善計画を開示するよう強く求めている。同氏は沈黙したままだが、26日夜にはウォール街のアナリスト15-20人をシティ本社に招待しカクテルパーティーを開く。招待されなかったアナリストや、パンディット氏のCEO就任以来シティが投資家説明会を計画していないことを指摘したアナリストは不満を漏らしている。

 オッペンハイマーのアナリスト、メレディス・ホイットニー氏は、シティの年次報告書を受け、08年のシティの1株利益見通しを70%以上引き下げ75セントとしたうえ、「これでも楽観的かもしれない」と警告した。また株価については簿価の約70%に相当する16ドル以下に下落する可能性があるとした。「1990-91年の信用サイクルの間につけたのと同水準」になるという。

 シティの10-12月期末時点の簿価は1株22.74ドル。同氏は、シティの1-3月期の純損益は赤字になると予想している。

 シティは年次報告書の中で、簿外の投資主体にかかわるエクスポージャーについて詳細に説明している。これは投資家が、シティの財務諸表に載らない資産について引き続き心配する必要があることを示唆している。

 シティによると、簿外の投資主体が保有する資産の総額は3560億ドルで、06年末時点の3880億ドルから減少した。ただ07年の数字は、シティの帳簿に移したストラクチャード・インベストメント・ビークル(SIV)の資産580億ドルを含んでいない。06年の数字には含まれている。

 こうした資産のうち損失のリスクに直面しているのは約1520億ドル。前年は1480億ドルだった。このうち約140億ドル分は債務担保証券(CDO)へのエクスポージャー。こうしたCDOは一段の格下げの可能性があるとアナリストはみている。

 シティは昨年末、200億ドル以上に相当するCDOを自社の帳簿に統合した。市場環境が極度に悪化すれば、シティはさらに380億ドル相当のCDOを自社の帳簿に記載する必要に迫られる可能性がある。

 シティが簿外の投資主体についての情報開示を増やしたのは、証券取引委員会(SEC)が12月、こうした投資主体への大きなエクスポージャーがある企業に、年次報告書で情報を追加開示するよう求めたため。シティはさらに、こうした簿外の投資主体やヘッジ行動についてSECの企業金融局と話し合っていると明らかにした。

 さらにシティはこの年次報告書で初めて、投資銀行部門が評価の難しい約200億ドルのポジションを保有していると明らかにした。このポジションは直接・間接に世界の商業用不動産市場と関連しているという。ただ、ポジションの形態は詳述していない。商業用不動産の価値が今年は下落するとの懸念が高まっていることから、シティは、トレーディングのポートフォリオが痛手を被る恐れがあると警告している。

 (2月26日付のHeard On The Streetより)
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by yurinass | 2008-02-27 10:57

菱和建設(盛岡)が最上位 債務履行能力の格付け

 岩手銀行(高橋真裕頭取)は25日、同行が取次業務を行っている国内の中堅・中小企業向けの格付けサービス「日本SME格付け」で、盛岡市の土木建築工事業菱和建設(及川力社長)が最上位格付け「aaa」を取得したと発表した。日本SME格付けで建設業者が「aaa」を取得したのと、県内企業の日本SME格付け取得は初めて。

 SME格付けは米国系大手格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)と中堅・中小企業データベース運用の日本リスク・データ・バンクが2005年12月に共同開発した。

 過去5年の財務諸表などに基づき、企業を「債務履行能力が極めて高い」という最上位「aaa」から、「事業環境などが悪化した場合は債務を履行できない可能性が高い」という最下位「ccc」まで7段階で評価する。

 岩手銀行は07年3月から同格付けの取次業務を開始した。S&Pによると全国で25日時点で31社が「aaa」を保有している。

 及川社長は「創業以来、地道に培ってきた当社の対外的な信用力があらためて第三者機関に評価された。建設業界が長期的に低迷する中で、格付けを維持していく責任の重大さに身が引き締まる思いだ」としている。
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by yurinass | 2008-02-27 10:55

中小小売業のための経営改善のポイント

最近の中小小売業を取り巻く環境は、大手スーパーや大手量販店等との業態間競争や、商業集積間・地域間の競争激化に加えて、消費者の購買行動の変化や販売形態の多様化等もあり、ますます厳しさを増しています。
 そうした状況の中で、売上や利益を確保し、成長を続けていくには、自社の置かれている状況を的確に把握し、これまで以上に実効性の高い経営改善計画を策定し、着実に実行していくことが必要です。
 本号では、小売業を営む中小企業が効果的な経営改善を進める際に留意すべきポイントについて紹介します。




経営改善の必要性

 品質と価格のバランスや自分のライフスタイル、価値観に重きを置き、事前情報を十分に収集した上で商品選択を行う消費者の増加、中心市街地から郊外立地への店舗立地の変化、業態間や商業集積間の競争激化等に加えて、インターネットを活用した仮想店舗やショッピングモール等との新たな競争も発生しており、小売業界、とりわけ中小小売業者の事業環境は一段と厳しさを増しています。
 そうした状況下にあっては、組織の革新や商品構成の見直しによる消費者ニーズへの的確な対応、魅力的な店舗への改装等施設の充実や多店舗化、業務用食品スーパーや100円ショップ等成長業態への転換や専門化の追求等により、売上げや利益を確保することが喫緊の課題となっています。
 しかしながら中小小売業者においては、資金的な制約等もあり、一度に大きな投資は難しいケースも多いことから、商品構成や商品の発注・仕入方法の見直し、販売促進方法の改善や人件費コントロールによる経費削減等、既存店の改革から優先的に実施していくことが必要となります。



経営改善のステップ

 経営改善は、以下のステップで進めていきます。



1.現状分析

 経営改善を実施するためには、まず自社の現状を正確に把握します。現状分析は以下の3つの視点で行う必要があります。



2.改善計画の立案

 ~改善計画立案シートの作成~
 現状分析によって明らかになった自店の課題に沿って、改善計画を作成します。
 経営改善計画は、自社の「あるべき姿」を実現するための全社的な目標や行動計画を明らかにするもので、従業員一人ひとりの果たすべき役割の指針を示すものです。したがって、従業員の当事者意識に働きかけ、経営計画を実効性のあるものにするためにも、数値目標や実施スケジュール等を明確にした計画を作成する必要があります。



店舗における改善手法

1.品揃え・売場の改善

(1)  品揃えの改善
 品揃えの改善は、「幅」、「深さ」、「量」の3つの視点で行います。



(2)  売場レイアウトの改善
 売場には、「活気」を醸し出し、顧客の注意を喚起する磁石売場と呼ばれる売場があります。磁石売場を有効に活用し、顧客の購買意欲を高めることが必要です。
■磁石の種類と陳列すべき商品



2.発注と仕入の改善

(1)  発注方式
 商品特性によって、以下の通り様々な発注方式があります。



(2)  発注精度の向上
 発注精度の向上は、チャンスロスや不良在庫、陳列量や作業効率に密接に関連する重要な課題で、以下のような点に留意します。



3.販売促進方法の改善

 販売促進策には、常時販促と、定点的販促があります。ここではそれぞれの代表的な手法として、ポイントカードとチラシについて説明します。

(1)  ポイントカードの活用法
 目的に応じて様々な活用方法がありますので、自店の課題や目的に応じて、活用方法を検討します。導入後は、導入効果の測定を実施し、より効果的な方法を採用します。



(2)  チラシによる販促の実施方法
 以下のような手順で実施します。実施後は必ず効果を測定し、次回に活かします。



4.オペレーションの改善

(1)  人件費コントロール
 人件費は、以下の算式で表されます。従って、①ムリ・ムダの排除、②作業手順の改善、③機械化の推進等で総人時を削減するとともに、パート化の推進等により1人時単価を引き下げることで、人件費を削減できます。



(2)  効率的な作業設計・要員配置の実施



(3)  パート・アルバイトの活用
 仕事の目標を明確にした評価制度や、仕事の成果に応じた報酬のシステム等、以下のような項目に関する仕組みづくりが必要です。





取組み事例



 【企業概要】
 事業内容:食品スーパー
 売上高:9億円、従業員:25名

 A社では、ショッピングセンター進出による業績悪化への対策として、既存店舗のたて直しによる収益向上を目指しました。品揃えに関しては、プライスライン分析をもとに、主力の生鮮品に関して、競合店より価格を低めに設定するとともに、その価格帯前後に品揃えを集中しボリューム感を出しました。また、発注に関してはPI値を活用して発注精度を高め、パート比率を段階的に引き上げることで、人件費の削減も実施しました。さらにチラシの配布地域や配布枚数を見直すことで、販促費の削減にも取り組みました。
 こうした取組みの結果、客数減をカバーし売り上げは徐々に回復しました。また、コスト面でも、人件費、販促費の削減を実現し、収益は改善に向かいました。



 【企業概要】
 事業内容:婦人洋品チェーン
 売上高:14.5億円、従業員:50名

 B社では、経営する5店舗のうち、大手量販店が運営するショッピングセンター内にテナントとして出店している4店舗の収支がいずれも赤字となっていたことから、収支改善に着手しました。品揃えの改善に加えて、店舗別業績評価制度を導入することで、各店舗の採算管理を徹底しました。また、レイバースケジューリングを実施し、効率的な要員配置を行うとともに、パート社員の指導を強化し、評価制度も導入することで、パート社員の戦力化を図りました。仕入面では仕入れ枠管理を強化することで適正在庫を維持できるようになり、売上の増加、商品回転率の改善等につながっています。
 こうした取組みの結果、売上げの増加や粗利率の改善等が実現し、赤字店舗の黒字化が実現しました。

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by yurinass | 2008-02-27 09:38

貸金業社数が1万社割れ、中小零細業者の減少大きい・1月末

 消費者金融など全国の貸金業者数が1月末現在で9819社となり、1万社を割った。昨年3月末に比べて17%減り、10年前の約3分の1となった。金融庁によると、営業地域が都道府県内にとどまる中小零細業者数の減少が特に大きい。貸金業法の改正に関連し、過払い金の返還訴訟が相次ぐなど営業環境は厳しく、廃業に追い込まれる業者が増えているとみられる。

 県境を越えて営業する広域業者は各地の財務局、県内だけの中小零細業者は各都道府県に登録する決まり。金融庁の集計によると、1月末時点の財務局業者は596社、都道府県業者は9223社だった。

 都道府県業者は昨年3月末に比べ17.4%減り、財務局業者の10.2%減を上回った。廃業に追い込まれる業者が大半だが、行政処分による登録取り消しを受ける業者もいる。2005、06年度末は減少幅が縮小傾向にあったが、06年末の改正貸金業法成立を境に拡大しているもようだ。(00:08)
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by yurinass | 2008-02-27 08:50

アルピコグループ債務超過問題

 鉄道や路線バス、スーパーと、地域に根ざした企業活動を展開してきた「アルピコグループ」が182億円の債務超過に陥り、8金融機関に金融支援を要請していることが明らかになって2か月。29日には、同グループが示した再建計画案の妥当性について、第三者の専門家が検証結果を報告する。今後、金融機関の動きも活発化するとみられ、グループ再生の道筋に注目が集まっている。(山下寛人、浅子崇)

■多角経営

 アルピコグループは1920年設立の「松本電気鉄道」(滝沢徹社長)を中核とした交通や小売り、観光など26社からなる企業グループ。松本市と波田町を結ぶ松本電鉄上高地線や路線バス事業で、地域の足の役割を担う一方、スーパー「アップルランド」を県内全域に出店し、松本市内や上高地、美ヶ原温泉で旅館・ホテルを経営するなど多角経営を展開してきた。

 85年には、ゴルフ場や別荘地の分譲などを手がける「東洋観光事業」(茅野市)を買収。バブル期には、同社を中心に、ゴルフ場のコース増設やクラブハウスの改装、ホテル建設など、積極的に多額の投資を行った。だが、その後の景気低迷で利用者は伸び悩み、投資資金を回収できず財務体質も悪化した。

 その結果、主力事業である鉄道やバス、小売業への追加的な投資もできず、アップルランドの場合、90年代前半に売上高670億円を達成していたのが、06年3月期には500億円を割り込んだ。鉄道、路線バスについては、「詳しい数値は明かせない」(松本電鉄)としているが、多くの赤字路線を抱えている。

■戦略の欠如

 グループのうち19社が計182億円の債務超過に陥っていることは、07年9月期に初めて連結決算に踏み切り、昨年12月下旬に金融機関に対し支援を要請したことで明るみに出た。

 グループ企業は相互に出資しており、資本関係は入り組んでいる。松本電鉄の社長が各社の代表を兼ねる形で経営してきたが、「各社の自主自立を促す」という建前のもと、グループ全体の経営や戦略を判断する統括役は不在だった。グループとして総合力を発揮することもなかった。

■6000人の不安

 グループの従業員数は、正社員約2500人、パート約3500人で、計約6000人。金融機関に示した再建計画案は公表されていないが、会社側は「雇用は従前通り」と説明する。しかし、「アルピコグループ労働組合連合会」の宮下洋会長(53)は「雇用が守られるのか全くわからない状況」と不安を隠さない。約1000人の組合員からは、「退職金が出るうちに辞めた方がいいのだろうか」という相談もあるという。

 例年は2月中旬に決定する春闘の組合要求も、今年はまとめられる状況ではない。宮下会長は「前例のない『要求なし』も含めて検討する」という。
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by yurinass | 2008-02-27 08:24

梁山泊グループによる相場操縦事件

アイ・シー・エフを錬金術の道具にしたベンチャーたち

 大阪府警は、パチンコ情報会社・梁山泊(大阪市)グループによる相場操縦事件の核心に切り込んだ。2月13日、東証マザーズ上場のIT関連企業アイ・シー・エフ(現・オーベン、東京都)が不正な買収をしていたとして、金融商品取引法違反(偽計)容疑で、梁山泊グループ代表の豊臣春国容疑者(57)=ビーマップ事件で公判中=と、アイ社元社長の佐藤克容疑者(32)ら計4人を逮捕した。

 1年前の2007年3月。大阪府警は大証ヘラクレス上場の情報通信サービス会社・ビーマップ(東京都)株の仮装売買を繰り返した株価操縦の容疑で、梁山泊グループの経営者である豊臣春国容疑者と、その指南役の川上八巳容疑者などを逮捕した。

 梁山泊の事件化は、ビーマップの株価操作だけで終わると見る向きはいなかった。梁山泊グループがもっと、大掛かりな株価操縦をやっていた銘柄があったからだ。それが、東証マザーズ上場のアイ・シー・エフ(2006年8月にオーベンと商号変更)である。

 アイ社には、朝鮮総連中央本部の土地・建物をめぐる仮装売買事件で逮捕された元公安庁長官・緒方重威被告=詐欺罪で公判中=が監査役を務めていたのをはじめ、さまざまな人物が関わった。

村上ファンドの仲介で売却          

 アイ社は、ITベンチャーの井筒大輔氏が97年に設立したネット上で企業間の電子商取引市場を運営する会社で、2000年10月に東証マザーズに上場した。

 しかし、ネットバブルは崩壊。出資したベンチャー起業家は荒稼ぎできなかった。ベンチャー起業家は、新規公開で得た資金を未上場のベンチャー企業に投資して、株式上場の際に高値で売り抜けて資金を膨らませる手法をとっていたからだ。

 アイ社には、ネットバブルの寵児となった重田康光氏の光通信、史上2番目の若さで東証マザーズに上場を果した藤田晋氏のサイバーエージェント、家業の有線放送を引き継いだ宇野康秀氏の有線ブロードネットワーク(現・USEN)、嵜岡邦彦氏が率いる商工ローンのニッシン(現・NISグループ)の4社が出資した。

 だが、新規公開による高値期待は空振りに終わった。電子商取引ビジネスの実績はなく、将来性はなきに等しかった。筆頭株主である井筒氏はアイ社の売却を決める。

 井筒氏が売却の仲介を頼んだ先が、あの村上ファンドの村上世彰氏=村上ファンド事件で公判中=。村上氏は、投資会社バリュークリエーションの天井次夫相談役を介して、翼システムの道川研一社長(当時)と会い、井筒氏の株を引き取ってもらうことで話をまとめた。

 翼システムは2001年12月、井筒氏、光通信、サイバーエージェント、有線ブロードネットワーク、ニッシンからアイ社の株式を買い取り、42.9%の筆頭株主になった。アイ社株を井筒氏側から道川氏側に譲り渡す仲介をしただけで、村上ファンドには2~3億円の手数料を得たという。村上氏にしてみれば、まさに棚からボタモチだった。


裏口上場狙いのM&A           

 翼システムは、自動車の整備・板金・塗装業者向けのパッケージシステムを開発、そのソフトを自動車整備工場に的をしぼって売り込み、全国にネットワークを築いたソフト会社。そのノウハウを取り入れた「カーコンビニ倶楽部」を立ち上げて全国展開に乗り出した。「突っつくわョ」という美川憲一のTVコマーシャルで話題になった。

 だが、翼システムは未上場だった。代表の道川研一氏は、3年間に約38億6,000万円の所得を隠し、法人税約15億6,000万円を脱税したとして、逮捕・起訴されていたからだ。

 道川氏がアイ社を買った理由は、ほどなくわかる。アイ社は、翼システムの子会社であるオートバイテルの第三者割当増資を引き受けて、オートバイテルを子会社化した。同時に、オートバイテル社長がアイ社長を兼務した。

 このM&A(合併・買収)は、大株主の翼システムが上場企業のアイ社を利用して裏口上場するために仕組まれた。刑事被告人がオーナーという理由で、上場できない翼システムにとって、上場会社の買収は裏口上場を果す格好の器となった。買収できれば、正規の審査を経ずに上場の立場を得る「隠れ上場」が可能になるからだ。裏口上場するために、東証マザーズ上場のアイ社を買収したのである。

 アイ社が赤字を垂れ流し続けたため、道川氏は、ネット通販でそこそこ実績をあげていた佐藤克氏をアイ社に迎え入れた。2003年10月、社長に就任した佐藤氏が、最初に手がけたのは、子会社売却によって10億円の現金をつくることだった。

 03年12月、ネット消費者金融のウェッブキャッシング・ドットコム(以下ウェッブキャッシング)を株式交換方式でホリエモンこと堀江貴文氏=ライブドア事件で公判中=のライブドア(当時・オン・ザ・エッヂ)に売却した。ライブドア事件の際に、アイ社は「ライブドア錬金術」に利用された会社として話題になった。 


ライブドアによる錬金術          

 ライブドアとアイ社は当初、現金での売買に合意していたが、途中でライブドアが株式交換にしたいと変更した。投資事業組合をダミーに使うことで、ライブドアは現金を支出せず、しかも、ライブドアが儲かる仕組みを考えたからだ。両社の株式交換に介在する「M&Aチャレンジャー1号投資事業組合」は、元ライブドア役員の野口英昭氏(ライブドアへの強制捜査直後、沖縄で変死)がつくった。

 ライブドアはウェッブキャッシングの株式を取得、ウェッブ社の株主(親会社)であるアイ社はライブドア株を取得する。アイ社は投資事業組合にライブドア株を売却して、売却代金8億5,000万円を現金で受け取る。形式は株式交換だが、実際は現金売買と変わりないため、いくらでも現金が欲しいアイ社は、その提案に飛びついた。

 投資事業組合は、そのライブドア株を市場で売却して回収するわけだが、このスキームには、アイ社に知らされなかった後段がある。同投資事業組合はライブドアそのものといえるダミーファンドだったことだ。第三者のファンドを装うために、野口氏のエイチ・エスインベストメントを表面に立てただけである。

 投資事業組合は売却益を分配金名目でライブドアファイナンスを経由してライブドアに還流させた。ライブドアは自分のカネで自社株を買って、それを売って売上高や利益を増やしていたのである。

 しかも、株式の大量分割を繰り返して株価が暴騰した時期。ウェッブキャッシングなど6件の企業買収で還流した売却益は約80億円に達した。アイ社の佐藤社長は「株でもらっておけばよかった」と地団太を踏んで悔しがったという。

 そのため佐藤社長はライブドアをまねて株式交換によるM&A(合併・買収)に乗り出していくことになる。

 2004年1月23日。梁山泊グループの1社であるビタミン愛が翼システムからはアイ社株を買い取り、29.4%を保有する筆頭株主に躍り出た。

錬金術に利用された16件のM&A

 アイ・シー・エフには、梁山泊グループの1社であるビタミン愛が翼システムが筆頭株主として乗り込んできた。その直後から社長の佐藤克容疑者(32)は、証券市場での資金調達が可能な上場企業という立場を生かし、2年間で16社のM&A(合併・買収)を繰り返したが、M&Aは株価を刺激するための錬金術だった。

 梁山泊グループは、2度果実を口にした。自らが関与する企業をアイ社に高値で売りつける一方、アイ社の売上に協力して高株価を演出、その間にアイ社株を売り抜けた。彼らは40億円荒稼ぎした。


食い物にした面々            

 アイ社を食い物にした重要な人物が少なくとも3人はいる。

 梁山泊グループのオーナーの豊臣春国容疑者(57)=ビーマップ事件で公判中=は、元山口組系暴力団幹部。裏社会での通り名は松山春国で、日常は松山や近藤など複数の名前を使い分けていた。

 豊臣容疑者の株の指南役である川上八巳氏=ピーマップ事件で公判中=は、京都の同和団体・崇仁協議会の代表だった藤井鐵雄氏の親戚。崇仁地区がJR京都駅前の一等地にあるため、協議会はバブル経済の最中、消費者金融大手の武富士と組んで地上げを請け負って巨額の利益を挙げた。だが、武富士と決裂。藤井氏が逮捕、協議会は分裂。拘留中に銀行口座から巨額な預金が引き出されていた。その前後から、協議会幹部が白昼射殺される事件が続発した。当時、藤井氏の側近をしていたのが川上氏だった。その後上京して、ベンチャー企業に対する投資家となった。

 もう1人が榎本大輔・元ライブドア取締役(36)。22億円払ってロシアのソユーズ宇宙船で日本人初となる民間での宇宙旅行を行うと発表し、時の人となった、あの人物だ。

 榎本氏はソフト販売会社プロジーを株式交換方式で、堀江貴文氏=ライブドア事件で公判中=のオン・ザ・エッヂに売却。同社に入社し、取締役兼最高戦略責任者に就任。M&Aを担当し無料プロバイター「ライブドア」の営業全部を1億2,000万円という安値で譲り受けた。オン・ザ・エッヂがエッジを経て、ライブドアに社名を変更する。

 榎本氏は2003年6月に退社。株式交換で入手したライブドア株を売却したキャッシュを元手に、ベンチャー企業への投資と宇宙旅行を計画した。最初に投資した先がアイ社。投資したのは2004年1月。梁山泊グループのビタミン愛が筆頭株主として登場した時だ。榎本氏は最高戦略顧問に就任し、M&Aを仕掛けていく。

            
M&Aで資金を吸い上げる

 ビタミン愛は経営支援目的でアイ社株を取得したとしているが、これは表向きの話。上場会社であるアイ社株を錬金術の道具に利用するためである。株価を吊り上げるには、アイ社の役員の協力が必要だ。取り込んだのが、社長の佐藤克容疑者である。ビタミン愛が大株主になるにあたり、損失保証を取り決めたとされている。暴力団をバックにする威圧の前に、佐藤容疑者は梁山泊グループの手駒として動くようになる。

 佐藤社長は、取り憑かれたようにM&Aに血道を上げていった。買収の手法は、ライブドア流の株式交換方式である。佐藤社長と買収担当役員だった小野高志容疑者(36)は、ライブドアがウェッブキャッシングで使った手法を熱心に学んだ。

 アイ社は、毎月1件のペースで株式交換による企業買収を繰り返した。佐藤社長がM&Aに柱に置いたという映像コンテンツの会社はおよそ関係なかった。梁山泊グループが、関係する会社をアイ社に売りつけて、資金を吸い上げていった。アイ社をATM(現金自動引出機)にしたのである。

 株式交換方式による最初の買収案件は、2004年3月のワン・ウイング。その大株主は豊臣容疑者の株取引の指南役といわれる人物だ。アイ社は、経常赤字2億円のパッケージソフト卸会社を3億7,000万円(現金換算)で買い取った。

 同年12月に、梁山泊と関係が深い広告代理店の大阪第一企画を買収。直前期の売上高4億1,000万円で債務超過にあった同社の買収価格は8億3,000万円(現金換算)。

今回逮捕容疑となったのが、大阪第一企画のM&Aだ。本来は1億円ほどの企業価値しかないのに、アイ社側が、ライブドアの監査も担当していた元港陽監査法人所属の公認会計士、田中慎一容疑者(35)に8億円の資産査定書をつくらせた。

 2005年5月には、指南役の川上氏の口利きで、大阪市に本社があるコインパーキング場運営会社エイチ・エヌ・ティー(HNT)を17億7,000万円(現金換算)で買収。3期連続経常損失の債務超過に陥っていた会社をである。その後もHNTやそのオーナーなる人物に資金を貸し付け、最終的に投融資額は総額約20億円に達した。HNTは買収1年半後に自己破産した。アイ社の貸付金は不良債権化した。

 アイ社が買収した16社は、ほとんどがこの手の会社だった。

          
アイ社株の高値売り抜け

 次は出口戦略である。株価を上げて、豊臣、川上、榎本といった連中が、売却しやすい環境をつくることだ。川上氏、榎本氏、佐藤社長のトリオによるアイ社の株価つり上げ作戦は、M&Aと株式分割である。

 アイ社は企業買収に乗り出した直後の2004年4月、7月20日に株式分割すると発表。M&Aへの期待と株式分割が材料になって株価は上昇した。

 2004年8月、豊臣容疑者らは保有する株式数の6割を、川上八巳氏や榎本大輔氏の妻(名義)ら4人に計8億6,4000万円で売却した。残りの保有株は同年11月、投資会社に26億8,200万円で売却して手仕舞った。

 ビタミン愛は翼システムからICF株を6億7,600万円で取得した。高値で売り抜けて、ビタミン愛名義の取引だけで28億7,000万円の利益を得た。豊臣容疑者には、大阪第一企画などが株式交換で得たアイ社株も渡っており、それらも売却して、梁山泊グループ全体で計40億円を荒稼ぎした。

 アイ社株はいったん下落したが、買収作戦によって2005年5月には再び急騰。その過程で川上被告は売り抜け、10億円稼いだとされている。

 アイ社の株価急騰は、2004年が豊臣容疑者の高値売り抜けのため、2005年は川上氏、榎本氏ら豊臣容疑者の株売却の受け皿になった4人の高値売り抜けのために仕組まれたものだった。売り抜けた榎本氏は2005年6月に最高戦略顧問を退任した。

 これがアイ・シー・エフを舞台に繰り広げられた錬金術だった。
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by yurinass | 2008-02-27 08:23

「コンプライアンス礼賛」が招く二つのワナ

偽装事件の頻発を背景に、多くの企業はコンプライアンス活動を強化している。
だが、これによって経営者と従業員の関係に、亀裂が生じてはいないか──。

「先生、何が今一番現場の意欲を殺いでいるかご存じですか」
 ある企業研修でモチベーションの話をしているときに突然出てきた質問である。面食らってしまった。苦し紛れにいくつか答えを出すと、成果主義による賃金 の目減りでもないし、トップマネジメントのリーダーシップ欠如でもない。質問者によると、いわゆるコンプライアンスだというのである。本来は「法令遵 守」。でもそれが「内部統制」として実施されている場合が多い。
 コンプライアンスの重要性が叫ばれるようになった背景には、当然だが多発する違法行為や反社会的行為によって、消費者や取引先の信頼を失い、事業継続が 不可能になる企業が頻発するようになったことがあろう。企業にとってコンプライアンスは、リスクマネジメント活動として死活問題である。その意味で、私 は、コンプライアンス活動の重要性を否定する気はない。
 だが、考えてほしい。今のコンプライアンス活動はややいきすぎの感があるのも事実ではないだろうか。例えば、個人情報保護に関する法令によって健全な企 業活動まで制限されることは頻繁に指摘されているし、また多くの企業で残業時間規制に関する指導に従うために、始業時や終業時にやや滑稽な光景が見られる のも事実である。
 もちろん、これらの多くはいずれ修正されていくだろうし、実際の損失は大きくないように思う。本当はいけないことなのだろうが、従業員が残業時間規制を 避けるために、一度退社してから守衛さんにお辞儀し、夜間入り口から仕事に戻っても、これが強制されたり過度のサービス残業に結びついたりしない限り、大 きな問題ではない。
 私が気にするのは、今の企業が行っているコンプライアンス活動の根底に、従業員についての考え方の変化があるのではないかと思うからである。端的に言え ば、従業員を信頼しない経営者が増えているということである。もちろん、必ずしも経営者のせいではないかもしれないので、もっと正確に言えば、多くの企業 が、あたかも従業員を信頼しないという前提をもって、多くのコンプライアンスの仕組みをつくっているように見えるのである。
 具体的には、パソコンや情報記憶媒体の取り扱いについての規定、誰と会食をしていいかについてや金額の限度、食事の内容まで細かく規定された規則、会社による従業員のメール記録のチェックなどなど、微細な点にわたってルールが定められている。

 本来、コンプライアンスは内部統制だけで確保できるものではないはずだ。例えば、新聞記者がインサイダー情報を知ったとき株取引をしないということを徹 底するためには、ルールと罰則をつくるだけではなくて、なぜそれがいけないのかを、従業員一人ひとりが考えることが大切だろう(この問い、真剣に考えると 結構難しい)。だが、即効性と徹底を求めて、経営者はルールに基づく内部統制施策を中心にしたコンプライアンス活動を展開していることが多いようである。
 そして、少なくとも一部の企業で現場の従業員は、こうしたことで経営者からの信頼低下を読み取っているようだ。実際、私が2005年に行ったアンケート によると、「過去3年間企業経営において、コンプライアンスを強化してきた」と答えた企業の従業員は、全体平均に比べて、「この会社では従業員が信頼され ている」「この会社では従業員が自由に発言する雰囲気がある」という文章のあてはまり度合いが低下したと答える割合が、わずかだが多かった(図表1参 照)。他の要因を考慮していないので、あまり確固とした証拠ではないが、わが国企業のコンプライアンス経営における従業員の位置づけを示唆する結果であ る。



善意を信じる仕組みづくりが
「利己」を抑制する

 こうした従業員を信頼しない(または信頼しないというメッセージを伝える)コンプライアンス経営に問題はないのだろうか。怖いのは、経営者が信頼してい ないというメッセージを従業員が受け取ってしまうと、2種類の問題を引き起こす可能性があることである。二つ目がより怖い。
 まずは、従業員を信頼しない企業には、経営を信頼しない従業員が育つという点である。ちなみに、人間を信頼しないという意味でよく引き合いに出されるの が、経済学の考え方である。経済学者が疑り深い人種であると主張するつもりはないが、昔から言われているように経済学は、人間についていわゆる「性悪説」 の考え方に基づいてその体系がつくられている。わかりやすい例で言えば、人は少しでもチャンスがあると自己利益のために行動するので、人にものを頼むとき には、頼まれた人が自己利益だけではなく、頼んだ人の利益のためにも行動するようにインセンティブシステムをつくる必要がある、ということになる。つま り、エージェント(頼まれ手)が、プリンシパル(頼み手)の利益になる行動をするように契約を結んだり、対価支払いの仕組みなどを設計したりしなくてはな らないと考えるのである。有名なエージェンシーの考え方であり、この立場から見ると企業というのは、株主から末端の従業員までの一連のエージェンシー関係 の束ということになる。
 この考え方はなんとなくしっくりこないという方もおられよう。でも、こうした面があるのも事実である。ここでこうした経済学の前提が正しいかどうかを議 論する気はない。私が注目したいのは、組織行動論という私が専門にしている分野で行われている最近の研究である。その研究によれば、企業が従業員を“経済 学的”に扱う場合、従業員はたとえ、もともとそういう志向をもっていなくても、利己的に行動するようになり、逆に企業が、従業員を信頼して、彼らの善意を 信じる仕組みをつくると、こうした利己的な行動の発生が抑制されるという研究である。
 認知心理学の分野では、プライミングとか、フレーミングの研究と呼ばれる。プライミング研究によれば、混沌とした環境で人間が行動をする場合、人は情報 の曖昧さを解釈するためになんらかの認識枠組みを求める。そして最も効率的なのは、与えられた枠組みにのっとって状況を解釈し、行動をすることなので、企 業が自分を経済人として扱う場合には、自分も経済人として行動するということになる。企業に雇用されている従業員にとって、企業が提供する制度や仕組み は、会社の中の曖昧なメッセージを解釈するための重要な手がかりであろう。最近はリーダーシップや、人事制度についても同様の議論がなされており、リー ダーの行動や人事制度は従業員に対して強烈なメッセージ性をもっているとされる。
 したがって、企業がコンプライアンスの名の下に、働く人を信用しない施策を導入した場合、従業員は経営者の長期的意図を信頼せず、その仕組みの中で期待 されたとおりの短期利益志向型の行動をとる可能性が高い。もちろん、そのことが必ずしも違法な行動や反社会的な行動につながるわけではないが、企業にとっ ては望ましくない行動であるケースも多いであろう。少なくとも日本の企業制度や対顧客関係の中では、あからさまな自己利益志向行動は不利益をもたらす可能 性が高い。
 私が見る限り、多くのコンプライアンスの仕組みは、働く人を経済学で想定する人(経済人)として扱っているように見える。その結果、得られる従業員はお望みどおり、経済人なのである。そのことの影響は大きい可能性がある。



コンプライアンスを正しく
機能させる二つの方法

 二つ目は、こうした仕組みはもっと悪い結果に導く可能性があるということだ。なぜならば、こうした従業員を信用していないと受け取られやすい仕組みの多 くが、極めて規則中心・ルール重視になっているからだ。あたかもコンプライアンスについては、働く人は自律性など要らないとでも言わんばかりだ。そしてこ のような状態に従業員は適応してしまう。
 その結果、ルールに従うこと自体が目的になり、自律的に考えることをやめてしまう。会社の上層部が設定した内部統制のルールにである。何度も心理学の言 葉を引用して申し訳ないが、こうした転換を心理学では、ラーンドヘルプレスネス(learned helplessness、学習された無力感)と呼ぶ。最も効率のよい行動の選択は、与えられたルールに従うことなのである。この状態に陥った働き手は、 会社へ意見を言わないどころか、考えることさえしなくなるかもしれない。
 やや強烈だが、これはある意味では究極の“コンプライアンス”だろう。ただ、こうした意味でのコンプライアンスが企業経営にとって本当によいことなの か。そのことは考えてみる必要があろう。経営者の設定するルールが正しければいいが、そうでない場合、または経営者自身が倫理感を見失っている場合、社内 ルール中心の内部統制型コンプライアンス経営は意味をなさないのである。コンプライアンスの対象である内部ルールや基準が間違っているとしたら、考えない 従業員の存在は、逆に一層のコンプライアンス上の危機を招いてしまう。

 こうしたことを防ぐためには、少なくとも二つの方法があるだろう。一つはコンプライアンスにおいても、従業員が自律的に考えることを許すことであり、考 えるための原則や理念を経営者と従業員で共有することである。そしてその解釈については、絶対に必要なことを除いて、ある程度の柔軟性を許容する。
 もう一つは組織と距離をおいてはいるが内部にいる人たちの意見を聞くことである。例えば、末端のパートタイム従業員である。最近の食品偽装の告発では非 正規従業員が大活躍をした。こうした従業員を大切にすることは危機管理上も、コンプライアンス経営としても重要であろう。
 いずれにしても、コンプライアンス経営の土台は従業員への信頼にある。正直に言えば、私はこの分野の専門家ではないので、あまり大きなことを言う資格は ないが、人間行動の原理に従うと、今、多くの企業が行っているルール重視のコンプライアンス活動はやや問題があるように思う。内部ルール遵守先行で、働く 人の自律性を否定するかのようなケースが多いからだ。
 こうしたことが冒頭に述べたような意欲やモチベーションの低下にとどまっている限りはまだいい。さらに悪いのは、コンプライアンスの本来の意味からの逸 脱が起こり、結果としてより大きなコンプライアンス上の危機を招いてしまうことである。こうした流れが始まっているような気がするのは私だけだろうか。
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by yurinass | 2008-02-27 08:21

中小企業のための無料法律セミナー・相談会を開催(日弁連など)

 日本弁護士連合会、東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会では、3月8日、弁護士会館2階クレオ(千代田区霞が関)で、「中小企業のための無料法律セミナー・無料法律相談会」を開催する。
 セミナーのテーマは、「スムーズな事業承継のために」、「どうする?債権回収」。無料相談会は、労使関係、債権回収、契約相談、事業承継、不動産問題をはじめ各種の内容に対応する。
 また、全国の弁護士会では、3月8日を中心として、一斉無料法律相談会(シンポジウム、セミナー、講演会等を併催する地域あり)を実施する。
 詳細は以下を参照。

(東京)
http://www.nichibenren.or.jp/ja/event/080308.html
(全国)
http://www.nichibenren.or.jp/ja/event/080308_2.html
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by yurinass | 2008-02-27 08:15

調査会社社長が「与信管理」などで講演-沖縄県商工会連合会

沖縄県商工会連合会主催の経営安定特別講演会が2月26日、石垣市商工会館ホール(石垣市浜崎町)で行われた。

 講師に迎えた、データ・マックス沖縄(那覇市おもろまち4、TEL 098‐861‐9015)の宇地原忍社長が「調査の現場から見える企業動向とこれからの方向性」と題して講演。調査会社の視点から市場調査などの情報をもとに分かりやすく話した。

 宇地原さんは与信管理や企業倒産の傾向などを中心に説明。住宅業界市場を例に挙げながら、県内の現状なども詳しく紹介した。「2008年の動向は引き続き、中小・零細企業には厳しい環境。各種経済指標に反して、景気拡大の実感はない。企業倒産はいろいろな要素で件数は落ち着くが、各業界で淘汰加速する」としたうえで、「与信管理の徹底や倒産防止制度・セーフティーネットなどの救済制度を活用すること。沖縄の方はこういった制度を使わないので、日ごろから情報収集して活用してほしい」と宇地原さん。また、利益重視型経営の徹底や顧客満足度のアップ、嗜好(しこう)の多様化に対応した経営などをアドバイスした。「生き残るためには、まず他力本願思考を改善しなければならない。沖縄は県民性もあり、特に意識を改革していかないといけない」と話した。

 受講者はメモをとるなど、熱心に講演に聴き入っていた。講演後には、同市商工会から「中小企業倒産防止共済制度」の説明も行われた。(2008-02-26)
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by yurinass | 2008-02-27 08:14

破産法を改正するとものづくり競争力は強まるか、弱まるか

 借金の実態と法的知識について,ある信販会社の取り立て部門の方が実例を基に解説していたWebサイトが以前ありました。「大夜逃げ学」という名称で,今でいうブログのようなコンテンツを掲載していましたが,2003年末ごろにトラブルがあったとみえて閉鎖されてしまいました。実例を基に解説,というよりは解説という名目で実例をしゃべりたかったというようなところがあって(私もブログではよく本末を転倒させます),あまりに実例を面白おかしく言いすぎてトラブルになったようです。そこで学んだことの一つが日本の破産法の背景にある考え方ですが,これが中小企業の競争力を阻害しているのではないか,という話をつい先日聞きました。

 このWebサイト,問題はあったかもしれませんが解説内容は根拠のあるもので,債権処理についてはずいぶん勉強になりました。それによれば,日本の破産法は破産者に対する懲戒的な考えを基本としていて「本来,債権者が債務者の資産をひっぱがして山分けするための制度」であって「100%債務者の更生のためだけにあるわけではない」のだそうです。ブログの開設者は取り立て側の人ですから,懲戒的な考えを好んでいるようでした。それについては賛否両論あると思いますけれども,取り立てる側の行動がよく分かるという点で,取り立てられる側の人にも参考になった内容だったと思います。

 私もマニア的興味を覚えて,あるとき「自己破産せずに借金を返す法」という本を購入しました。横道にそれますが,このような本を購入するときは,必要に迫られた場合でも単純に興味本位であっても,会社や自宅から離れた書店をご利用になることをお勧めいたします。私は会社のすぐそばの書店で購入してしまい,お金を払うまですぐ後ろに以前の編集部の同僚が並んでいるのに気が付きませんでした。書名を見られたかどうか正確には分からない,というか確認する気にもなれませんでしたが,もし見られていたら「こいつ,借金漬けなのか!!」と思われるのは必至です。

 先日,米カリフォルニア州サンディエゴ在住で一時帰国していらっしゃる金型技術者のKさんにお会いしました。Kさんの実家は東京都文京区で彫刻加工の会社を経営していて,Kさんは2代目に当たる方ですが,2001年に会社を自主廃業(確か任意整理に当たると記憶しています)した経験をお持ちです。現在は金型の知識を駆使してさまざまな仕事をしていらっしゃいます〔ここまで書くとこの方がだれか,知らない人にまで分かってしまうと思います。実はご本人には実名を出してもよいと言われていますが,一応ブログなので慣習(?)に従ってイニシャルにします〕。

 会社を整理するときに,Kさんは同業者をはじめとした知り合いや,果ては出版社の編集者に至るまで,技術者のリストをメールなどで発送しました。約20人いた技術者の専門分野,経験年数,年齢などをまとめたリストで「このような人材に興味があったら連絡してほしい」という内容です。私たちははっきりいってお役には立てなかったのですが,何倍もの求人が来て全員が転職できたとのこと。むしろ,東京近郊から文京区に通っていた方の多くは,勤務地が自宅により近くなったそうです。「企業数は一つ減らしたが,国内産業の規模(従事者数)を減らすことにならなかったのが救い」とKさんはおっしゃいます。

 Kさんが会社をたたんだ理由は「コンピュータが普及したら,人手ではやっていけないと思った」ことだそうです。Kさん自身,3次元CAD/CAMには非常に早期から取り組んでいましたが,それは同業者が先にコンピュータを使ったら自分たちは生きていけなくなる,という危機感があったためのようです。しかし結局,採算を取ることは非常に難しくなり,1代目であるお父様の同意を得て,倒産あるいは破産する前に自主廃業に踏み切りました。当時私たちは内心,短絡的ではありますが「コンピュータを頑張って導入しても,実はものづくりに役立たないのか」と思ってしまったものです。

 そのKさんは「今の破産法では,会社を倒産させた人は身ぐるみ剥がれてしまう。せめて自宅とクルマくらいは持てるようにするべきではないか。そうでないと,本来なくなるべき会社がムダな努力をしてしまう」とおっしゃいます。会社が倒産すると,従業員もさることながら経営者は大きな負債を抱え,破産せざるを得ないなど最低限の生活しかできない状況に追い込まれます。そうなるのを避けようとして,低空飛行でぎりぎりまで粘る度合いが米国などに比べても強い。無理を重ねる結果「価格破壊に走ってしまう」(Kさん)。そうすると受注単価の相場が下落し,周囲の健全な同業者まで利益が圧迫され,危機に直面させられることになります。

 「がん細胞っていうのは,本来死ぬべき細胞が死なない状態になったときのことを言うんだそうですね。だから本来つぶれるべき会社がいつまでもつぶれないっていうのは,がん細胞と同じなんですよ」(Kさん)。表現はきついのですが,真理はあると思いました。だから日本の破産法にある懲戒的な考え方を緩める方が,つぶれるべき会社をつぶすことにつながり,産業全体の競争力も維持しやすい,というわけです。同時に,会社をつぶした人には再挑戦しやすい環境を与えることにもなります。

 苦しいときに努力して粘ること自体が悪いとは言えません。「米国では会社は金儲けの手段でしかないから,具合が悪くなったらすぐにやめてしまう。日本の中小企業は,会社は経営者にとってわが子同然だから,非常にあきらめが悪く,何とかしようと頑張る」と政策研究大学院大学の橋本先生のご講演でお聞きしました。新技術を開発したりカイゼンを重ねて合理的にコストを削減したりと,発展的な方向に粘って不況を乗り越えた中小企業の存在が日本の競争力につながっていることは,これはこれで事実でしょう。

 ただ,そういった研究開発やカイゼンは会社がいよいよ危機に瀕しているときは難しく,裏付けもなくダンピングに走ってしまいがち,という指摘はうなずけます。退き時が難しいのは会社経営に限らず,戦争でもスポーツでも,古今東西永遠のテーマと言えましょう。もし破産法を改正して債務者更生の考え方を強化したら,日本の中小企業の競争力は高まるのでしょうか,それとも弱まるのでしょうか?
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by yurinass | 2008-02-27 08:13