Webメモ


メモです。
by yurinass
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧

企業の評価損、一部は「その他の包括的利益」が隠れみのに

 ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米シティグループ(NYSE:C)と米メリルリンチ(NYSE:MER)が先週発表した1-3月期決算は、いずれも多額の赤字となった。ただ、証券の種類によって異なる会計処理をしており、これがなければ赤字額はもっと大きくなっていた可能性がある。

 シティは評価損や信用市場関連の損失を計上し51億ドルの赤字となった。だがこのほかの23億ドルの評価損はシティの損益計算書に影響を与えなかった。

 メリルについても同様。66億ドルの評価損を計上し最終損益は19億ドルの赤字となった。ただ、そのほかに評価損を少なくとも31億ドル計上したものの、最終損益には影響しなかった。

 こうした「ほかの評価損」はどこへ行ってしまったのだろうか。資本の一部を成す「その他の包括的利益」に算入されたのだ。この利点は、バランスシートに直接計上するが最終損益には影響を与えないという点だ。

 これは、ある企業がある種の証券をどのように分類するかにかかっている。企業は「その証券を満期まで保有し続ける予定で、その証券は売却可能であり流動性が高い」と分類することができる。満期まで保有される証券は、取得時の価格で記帳され、価値が下落したと見なされた場合にかぎり評価損を計上することになる。証券が売買された場合は常に値洗いし、利益または損失は直ちに損益に反映される。

 「売買可能な証券」という分類は、その証券の市場価格によって評価損あるいは評価益を計上する前の段階であり、損失または利益は「その他の包括的利益」に算入される。その価値の変化がより永続的であると判断されるまでここに算入されたままとなる。価値の変化が永続的だと判断した時点で、ここからその分を除き、最終損益に反映させる。

 はっきりさせておくが、このような手法で損失を計上している、シティやメリルを含む多くの企業は、間違ったことをしているわけではない。これらの手法はすべて会計規則で認められている。

 ただ多くの投資家は、なぜ同じ種類の証券による損失を企業によって異なる方法で計上できるのか、また、損失の計上を先送りしているのではないかという疑問を抱き始めている。メリルとシティはコメントを避けた。

 アナリストも、こうした損失が今はバランスシートの片隅に隠れていても、最終的には投資家に損害を与えることになるのではないかと警鐘を鳴らしている。クレディ・スイス・グループのアナリスト、デビッド・ザイオン氏は最近発表した調査リポートで、こうした未実現損失のS&P500社の総額は昨年末時点で約800億ドルだったと見積もっている。

 メリルが1-3月期決算を発表した後、パンク・ジーゲルのアナリスト、リチャード・ボーブ氏は、企業業績の実態が会計手法によって覆い隠されていることに絶望感を示した。

 同氏は顧客向けリポートで「メリルで1-3月期に何が起こっていたのかを私が理解していたと言うのは不誠実だ。また、私にメリルの今後の業績を見積もる合理的な方法があると言うのも不誠実だ」と記した。

 投資家は、「その他の包括的利益」における損失がもう1つの理由で拡大することに目を光らせる必要がある。「その他の包括的利益」は、銀行の自己資本の基本的項目(Tier1)に含まれないため、銀行は財務基盤の強さをあいまいにすることができるという点だ。Tier 1の水準は規制上、銀行の自己資本の強さを示す重要な指標。

 もう1つの注意点は、企業が「その他の包括的利益」の損失がより永続的になったと認識し最終損益に反映させる時期について厳格な規定がないことだ。このため企業の経営陣は、損益計算書に損失を反映させる時期を選ぶ余地がある。

 (4月21日付のHeard On The Streetより)
[PR]

by yurinass | 2008-04-22 20:34
<< 証券化商品:原資産の「追跡調査... みずほFG、「1兆円増資」終結... >>