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ゼネコン「現場破壊」 反乱と倒産…地方ルポ 「脱談合」は何をもたらしたか

長野 脱談合システムに業者が巻き返し

 公共事業の見直しが進み、これまでの利権構造が崩れつつある地方建設業。彼らは、今どこへ向かおうとしているのか。

 田中康夫前知事の「脱ダム宣言」で注目を集めた長野県。田中氏主導で大胆な公共事業改革を進めてきたが、2006年に官僚出身の村井仁氏が知事に就任。建設業者の「巻き返し」がすでに始まっている。

 長野県では田中知事時代の03年に、一定の参加条件を満たせば誰でも入札に参加できる一般競争入札を建設工事に導入。04年には、役所で行っていた入札申請手続きをインターネットで行うようにし、業者が集まって相談できないようにした。

 脱談合改革の効果は劇的だった。入札予定価格に対する落札額の割合(落札率)は、改革前は談合が疑われる約95%だったのに対し、導入後は一気に75・6%にまで低下した。

 落札率の低下は、談合秩序を失った建設業者によるダンピング競争の結果。「30%台にまで落ちる結果も出始めた」(県庁関係者)。極端な低額受注は、工事の品質にも影響しかねない。そこで、落札率75~80%を歯止めとする「失格基準」が設定された。そのせいもあり、落札率は現在、80%程度で落ち着いている。

 だが、この失格基準の引き上げこそ、建設業者の悲願だった。それが村井知事就任後の07年4月に実現し、80~85%へと改定された。当時県庁で実務を担当した堀内秀・長野県建設事務所長は「県庁と業者が工事コストの実態を調べた結果に基づく」と、根拠を説明する。

 それに対して、ある建設業界関係者は「実態調査の方法は業者からの聞き取りが中心。客観的な数字かどうか不透明だ」と指摘する。だが、「失格基準は9割にまで引き上げるべき」(県内建設業者)との声も出るなど、業者の鼻息は荒い。

有識者会議の委員に国交省OBが初就任

 県外から弁護士や大学教授ら談合問題のエキスパートを招き、積極的に入札制度改革を論じてきた県の有識者会議にも異変が生じている。

 07年6月末の任期切れに伴い、新委員として国土交通省OBを初めて選任。さらに県内有識者の比率も高めた。県では「建設業界に理解があり、県の事情にも詳しい委員を選ぶことで、偏らない委員構成にした」(土木部)と説明するが、田中知事時代からの路線変更は明らかだ。

 新委員の人選に手間取ったこともあり、ほぼ3カ月ごとに開催されてきた会議は半年間も中断、1月15日にようやく新委員による初会議が開かれる。今後、どのような議論が展開されるのか注目されるところだ。

 田中前知事が取りやめた浅川ダム工事の再開を決定した村井知事。建設業者には「昔に戻ると期待するな」と喝を入れ、厳しい姿勢は崩さない。が、脱談合を宣言した地元業者「第一測量設計コンサルタント」の近藤恒雄社長は「いつかまた談合ができるのではと期待する業者もいる」と指摘する。全国でも先駆的とされる長野県の「脱談合システム」の真価が問われるのは、これからだ。

福島 “談合王国”に訪れた倒産続出の修羅場

 佐藤栄佐久前知事が06年、県発注工事をめぐる談合事件で逮捕・起訴された福島県。地方分権の論客で国の原子力政策に異を唱えるなど、知性的なイメージだった前知事の逮捕は全国に衝撃を与えた。
福島県では1976年にも、当時現職だった木村守江知事が談合事件で逮捕されている。根深く「談合王国」の体質が残る福島県政の課題は、失墜した信頼の回復だ。出直し県知事選挙に民主党参議院議員から出馬し、06年11月に新たに就任した佐藤雄平知事は「全国でもトップレベルの厳しい制度を目指す」として、入札制度改革に取り組み始めた。

 改革の中心は前述の長野県同様、一般競争入札の全面的な導入だ。07年4月から3000万円以上の公共工事で一般競争入札を導入。10月からは、さらに250万円以上の工事へと拡大した。電子入札制度で建設業者の事前の相談も防ぎ、実質的にほぼすべての公共工事で談合が不可能になった。

 06年度には県発注工事の9割超で指名競争入札が行われており、平均落札率は約93%だった。それが、一般競争入札を導入した07年4月から10月までの半年間で86%にまで低下。11月以降も落札率は下落を続けており、県土木部では「落札率80%前後が半分近く、75%前後の工事が2割を占める」と話す。

事業者の倒産急増 異業種進出も困難

 指名競争入札のぬるま湯につかってきた県内建設業者にとって、一連の改革は痛烈だった。東京商工リサーチによると、07年1月から12月までの県内の建設業倒産件数は59件と、前年に比べ約48%も上昇。「公共事業の縮小や資材費高騰が続き、建設業者の体力が弱っている。そこへ新しい競争入札制度の導入が一因として加わった」(同社郡山支店)。

 福島県が実施した聞き取り調査に対して、サブコンや専門工事業者などで作る県建設専門工事業団体協議会は「元請けも下請けも採算が合わず、建設産業は崩壊してしまう」と回答。県建設業協会も県会議員に対して、「建設業は福島県の就業人口の1割を占める基幹産業。今の県行政は雇用維持など建設業が担ってきた役割を否定している」と苦境を訴えた。

 公共工事依存からの脱却を目指して、県建設業協会では介護や農業などの新領域進出を奨励してきた。だが、慣れない異業種だけに困難に直面する業者がほとんどだ。

 県建設業協会の三瓶英才会長も特別養護老人ホームなどの介護事業を展開しているが、「建設労働者に介護士をやらせるためには、一から教育が必要」と苦労を語る。農業への進出でも、販路の開拓や種苗の買い付けなどでJAなどの既存勢力の協力を得られず、苦戦するケースが多い。「もう少し役所が積極的に異業種進出を支援してくれたら」と建設業協会関係者は嘆く。

 建設業の急速な業績悪化と業者たちの要望を受けて、福島県は公共工事入札の最低制限価格(長野県の「失格基準」に相当、数値は非公表)を4~8%引き上げた。県土木部では、「必要な修正については、今後も業者と議論を続けていく」という。
 こうした多少のショック緩和はあったとはいえ、談合行為を自主申告した業者に入札参加停止期間の減免を認める「密告制度」を導入するなど、県では脱談合改革の手を緩めていない。地元建設業者の厳しい冬は、まだまだ続きそうだ。

宮崎 役所前で座り込む地元業者の抵抗

 「県発注工事は県内業者で!」「行政は俺たちを殺す気か!」。記録的な猛暑が続く07年8月、宮崎県庁前ではそんな過激なあおり文句を染め抜いたのぼりが掲げられ、十数人の男女が2日間にわたって座り込みを行った。

 宮崎県では06年12月、安藤忠恕前知事が談合事件に絡んで逮捕され、元タレント「そのまんま東」こと東国原英夫知事が県政刷新を訴えて07年1月に就任。4月から4000万円以上の工事で一般競争入札を導入した。07年10月には1000万円以上に範囲を広げ、さらに08年1月からは250万円以上のすべての公共工事で一般競争入札を開始する。

 05年度に97%と高かった落札率(県調査)は、07年4~6月の平均で約80%まで減少し、談合急減をうかがわせる。一方で、07年1月から11月までの建設業者の倒産件数は52件と、前年同期比でほぼ倍増した。

 座り込みは、入札改革の痛みに耐えかねる業者の悲鳴だった。県建設業協会は「座り込みは会員業者によるものではなく、関係していると思われるのは迷惑な話」としながらも、「業界は疲弊しており、県へは要望を出していきたい」と話す。

 すでに県内業者は、入札時の最低制限価格を引き上げてダンピングを抑制するよう要望。相次ぐ倒産を受けて県もその方針を了承した。

 県内の建設投資額が1993年度の約8400億円から半減しても、業者は8%しか減らず、過当競争が続く。地鶏飼育といった異業種に進出した業者もいるが、「あまりうまくいっていない」(建設業関係者)のが実情だ。業者の苦悩を解消する最善策は見つからない。

大分県では業者が市の災害協力を拒否

 同じ九州の大分県では、建設業者がさらに驚くべき行動に出た。

 大分県佐伯市は07年4月、落札率95%超の公共工事入札で談合の有無を調査する制度を導入したが、県建設業協会佐伯支部はこの制度の撤回を要求。9月には「要求が通らないなら災害発生時の協力協定を破棄する」と申し入れたのだ。

 この協定は水害などの発生時、復旧工事の協力について市と同支部が取り決めたもの。佐藤元・同支部長は「国や県に対しては、従来どおり復旧の協力を行う。だが、経費削減のため建設会社の社員の年収は350万円になってしまった。業者は十分苦しんでいる。市長や議員の人気取りでこれ以上、建設業が狙い撃ちされるのは許せない」と話す。

 佐伯市は工事の調査制度の続行について「試行中の制度であり、現状では不透明」という。追い詰められた地方建設業者の「反乱」が、地域に思わぬ影響を与えようとしている。
(週刊東洋経済1月19日号より)
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by yurinass | 2008-04-19 21:52
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