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バンキング2.0──個人間融資は起業家の資金源になるか

原文タイトル:Banking 2.0: New Capital Connections For Entrepreneurs
原文掲載サイト:www.forbes.com

著者名:Maureen Farrell
原文公開日時:2008年2月11日

金融市場では、信用収縮が起きている。中小企業にとって、資金の調達先を十分に考えておくことが非常に重要になった。そんな中、従来の調達先に代わるものとして、一つの手法が広がりを見せている。個人から個人への融資を仲介するWebサイトだ。

Prosper.com、 Zopa、Lending Club、GlobeFunderといったこの種のサイトは、ソーシャルネットワーキング・ツールなどのソフトウエアを利用し、見知らぬ相手同士が容易に資金を貸し借りできるようにしている。家族間、友人間の貸し借りを仲介するサイトもある。起業家にとっては、必要な資金の調達先が1つ増えることになる。融資する側から見れば、急成長を遂げているこれらのサイトが提供する利益率は比較的高い。資本主義の基礎を成す活動に気軽に参加できる魅力もある。

個人間融資のオンライン市場はまだ小さく、融資額も大きくない。最古参のサイトで最も規模が大きいProsperが、2006年のサービス開始以来成立させた融資の総額は1億2000万ドル。

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ほとんどの個人間融資サイトは、融資の限度額を2万5000ドルに設定している。しかし、サイトの数が増加しているため、市場規模も融資額も、今後数年で大幅に拡大する可能性がある。2007年には、GlobeFunderやLending Clubなどが参入し、英国に拠点を置くZopaが米国に進出した。

上記の4サイトはいずれも、仲介する融資の約20%が企業向けと見積もっている。

ドイツのフランクフルトにあるDeutsche Bank ResearchのエコノミストThomas Meyer博士は「近い将来に従来型の銀行融資に取って代わるということはない。だが、一部の人にとっては一つの選択肢になるだろう」と見る。博士は、個人対個人のオンライン融資に関する研究ノートをまとめている。「こうしたオンライン融資が民間の信用危機をすべて解消するようなことはまずない。規模の大きさがかけ離れているためだ。しかし、ニッチ市場として成長している」

銀行による信用調査は厳しく、中小企業は切り捨てられることが多い。しかし、比較的小さな額の融資を容易に受けられるこうしたサイトは、中小企業の助けになる。

米Lending Clubの上級副社長で、米Wells Fargoの中小企業部門の幹部だった経歴を持つPatrick Gannon氏は「中小企業は昔から、2〜5年分の財務報告を提出できるようになるまで、銀行から融資が受けられなかった」と語る。同氏によると、個人間融資サイトは「会社を立ち上げたばかりの人や、事業のアイデアを温めている人に、融資を受けるチャンスを与える。起業家としての夢を追うことを支援する」ものだという。「融資をするのは、その事業に魅力を感じている人や、相手の信用履歴に問題がなく、リスクを負っても大丈夫と判断した人たちだ」

個人間のオンライン融資は、最近はバンキング2.0と呼ばれる。通常、金利や返済期間を最初に設定している。支払いやトラッキングの仕組みも用意している。

ProsperとZopa、Lending Clubは、面識のない資金の貸し手と借り手の間で資金を移動できる仕組みを持っている。また、いずれのサイトもソーシャルネットワーキング機能を採用し、融資を受けたい人が資金を必要とする事情を説明できるようにしている。

英PA Consulting Groupで金融サービスの主席コンサルタントを務めるSamuel C. Li氏は「いわば、人の話を買っているようなものだ」と指摘する。「『借金で首が回らない』と訴える人に金を貸す人が果たしてどれだけいるだろうか? しかし、こうした仮想世界では、多くの人が『この人は助けが必要なんだ。この人には好感が持てる』というようなことを言う。彼らは普通の信用分析など行わない。感情移入しているのだ」

Prosperは、eBayのようなオークション形式を採っている。数週間の入札期間内に、貸し手側が、金利と融資する相手を決める仕組みだ。

Zopa も英国ではオークションを採用していた。だが昨年12月に立ち上げた米国のサイトは、信用組合と提携し、金利の決定と融資の審査を任せている。貸し手は、 ZopaのCD(譲渡性預金証書)を、特定の借り手を指定して、最大年利4.25%で購入する。誰かにCDを購入してもらえれば、借り手の金利はその分だけ下げられる。このCDは、信用組合が保証する。

Lending Clubも金利の設定と融資の審査を自ら行う。米Fair Isaacが提供するFICOスコアに基づいて金利を決めた後、自社サイトかFacebookを通じて、両者の金利に基づいて貸し手と借り手を引き合わせる。借り手は資金が必要な事情を説明し、貸し手が現れるかどうかを一定の期間待つことができる。

一方、GlobeFunderや Virgin Money USAは、ソーシャルネットワーキングの仕組みを利用しない。GlobeFunderでは、まず借り手が融資の必要性を訴える。これを受けて、サイトが幅を持たせて金利を決定する。GlobeFunderはここから機関投資家やヘッジファンドなどの提携先と協議し、融資に利益があるかを判断する。

Richard Branson氏がCircle Lendingを買収して社名変更したVirgin Money USAは、友人間、家族間の貸し借りを手助けしている。金利の交渉は当事者が行い、Virgin Moneyは返済計画と法的な書類を用意して、所定の手数料を取る。

Prosperを除くすべてのサイトが、利用者の基準を定めている。信用度のスコアが640を超えていること、負債比率が30%以下であることなどだ。 アナリストによると、中小企業はクレジットカードなどより低い金利で融資を受けられる場合が多いという。例えば、Lending Clubの創業者でCEOのRenaud Laplanche氏は、同社のサイトで借り手が支払う金利を平均12%と見積もっている。GlobeFunderはもう少し高い。米 GlobeFunder Venturesの社長Ben Decio氏によると、8〜22%という。これに対して、多くのクレジットカードの金利は20〜30%だ。

しかし、個人間の融資にはマイナス面もある。特に、中小企業の借り手には重大な問題だ。Li氏によると、借り手は毎月の返済で、利息だけでなく元本も支払わなければならない(銀行融資は利息から支払っていく)。また、大半の場合、毎月の返済額が固定されているため、立ち上げたばかりの会社や季節的な事業の場合、支払いが難しくなる恐れがある。条件の再交渉は、不可能ではないにせよ、かなり難しい。Li氏は「再交渉するとして、誰と交渉すればいいのか」と指摘する。同氏は以前、カリフォルニアの銀行で与信管理を担当していた。「中小企業は予期せぬ問題が起こりやすいため、大変な困難に陥る危険がある」

貸し手にとっては、投資利益率を、普通預金や当座預金といった他の多くの金融商品より大きくできる。ProsperやLending Clubでは、合意した金利で融資を回収できるかどうかは一種の賭けだ(両サイトはこれを保証していない)。一方、Zopaは比較的、安全な賭けと言える。信用組合が保証人になる仕組みがあるためだ。Zopaの貸し手に支払われる金利は最大4.25%。それでも大手銀行の当座預金やマネーマーケット口座の金利をわずかながら上回る。

Prosper、Lending Clubとも、現時点では貸し倒れの割合は比較的低い。ただし、景気の悪化に伴い、状況が変わる可能性はある。米Prosper MarketplaceでCEOを務めるChris Larsen氏によると、同社のサイトにおける貸し倒れ率は4.7%前後だという。Lending Clubでは信用度の低い借り手を締め出し、その分、金利を低く設定している。2007年半ばのサービスを開始から現在までの貸し倒れ率は0%。30日以上の延滞もごくわずか(0.012%)だという。

この種の融資はどれくらいの市場になるだろう? 複数のアナリストが大きな需要の拡大を予測する。カリフォルニア州プレザントンに本拠を置く金融サービス専門のコンサルティング会社Javelin Strategy & Researchは、個人間融資の市場は2012年までに1590億ドル規模に拡大すると見ている。貸し手側のリスクが存在するため、今後、人々の冒険心がどの程度かき立てられるかは分からない。Javelinの社長James Van Dyke氏は、新しいサイトのいくつかが成熟する1年半後には、貸し手側の動きがはっきりすると予測する。

Van Dyke氏は「PaypalやeBayと同じだ」と話す。「最初は冒険心を持つ一部の人だけが手を出す。ほとんどの人はしばらく様子を見て、先に試した人の話を聞こうとするものだ」
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by yurinass | 2008-03-22 09:27
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