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記者の目:改正建築基準法 中小地場は悲鳴=鈴木勝一

姉歯秀次・元1級建築士による耐震偽装事件をきっかけに07年6月から施行された改正建築基準法について、先月20日の本欄で高橋昌紀記者が「本当に『悪法』なのだろうか」と問題提起した。高橋記者は国土交通省の若手幹部の言を引いて「悪いのは建築基準法ではなく国交省」と指摘しているが、改正法の施行後、マンションとは関係のない、戸建てを扱う中小企業の経営破綻(はたん)が相次いでいる。私は国交省の対応はもちろんだが、改正法自体に問題があると思っている。

 昨年10月、私は改正法が北海道にもたらした影響について取材した。道内では同8月、マンション、アパート、戸建てなどを合わせた新設住宅着工戸数が前年同月比47.5%減の2353戸とほぼ半減。このうちマンション戸数は199戸からわずか5戸へと激減した。全国の新設住宅着工戸数を見ても同43.3%減の6万3076戸と過去最大の下落幅になった。

 異常な数字の背景には、国交省が改正内容を周知徹底せずに施行に踏み切ったことがある。建物の建築確認申請は、最初に都道府県・政令市の建築主事や民間審査機関が審査する。ところが、耐震強度の構造計算について、改正法がどこをどうチェックするかを記した解説書の作成が施行後になってしまった。当然、現場は混乱する。申請する建築士と建築主事・審査機関との間で解釈の違いが生じ、「書式や語句が違う」といった理由で申請が突き返される事態が相次いだ。

 こうした事例は国交省側の不手際が原因だが、それ以上に問題なのが改正法の中身だ。特に、マンションや高層ビルだけではなく、木造と鉄筋コンクリート造りを併用した「混構造」と呼ばれる戸建て住宅にも構造計算を義務付けたことは理解できない。その直撃を受けるのは、マンションデベロッパーのような全国規模の大企業ではなく、中小の地場の工務店や住宅メーカーだからだ。

 今月5日、「木の城たいせつ」という道内大手の住宅メーカーが営業停止に追い込まれた。同社は北海道の寒さに対応するため、基礎部分を通常よりも高い鉄筋コンクリート製箱型基礎とし、その上に木造2階建て住宅を建てる工法を開発した。皮肉な話だが、04年5月には当時の小泉純一郎首相が訪れ、地場産業の成功例として国会で絶賛したこともある。しかし、この工法は改正法で新たに構造計算が必要になった「混構造」。同社には構造計算の経験がなく、改正法への対応が遅れた。その結果、着工が滞り、経営悪化が一気に加速した。グループ会社を含む約570人は全員解雇される見通しだ。もちろん、改正法だけが破綻の理由ではないが、同社社長は「(混構造でない)木造2階建ての新商品を売り出したが、間に合わなかった」と無念そうに話した。また、鉄筋コンクリートの外断熱工法を開発し、低価格の3階建て住宅を販売して成長していた札幌市内の住宅メーカーも、改正法で3階建ても対象となり、建築確認手続きが厳格化した影響で着工が滞り、昨年12月に破綻した。

 北海道では基本的に冬季の工事ができない。夏季に着工が滞ることは、北海道の住宅メーカーや工務店にとって死活問題だが、このような地域事情を改正法は考慮していない。

 改正法施行から9カ月たち、住宅着工件数は改正前のペースを取り戻しつつある。北海道では今年1月の新設住宅着工戸数が前年同月実績を上回った。しかし「滞っていた件数が表に出てきただけでは」(道庁)という指摘もあり、「元に戻った」と喜ぶのは早すぎる。民間調査機関、帝国データバンクによると、改正法が一因と見られる企業破綻(1月末現在)は全国で22件(北海道3件)で、その後も増えている。

 改正法は、地域や各企業・設計事務所の処理能力や経営体力の格差を考慮しないまま、戸建て住宅にも高層ビル並みの複雑かつ厳格な構造計算と確認申請を義務付けた。もちろん、耐震強度のチェックを甘くしてまで、建設・設計業界の業績を好転させろというつもりは毛頭ない。しかし、改正法はあまりに“劇薬”に過ぎた。耐震偽装事件の被害の大きさに惑わされ、地域の実情などを顧みずに見切り発車した法律だったと言わざるを得ない。

 今回の問題で痛感するのは、中央(霞が関)の視点や発想だけで物事を決められると、社会に与える影響が大きいということだ。国交省には、地域の意見に耳を傾け、改正法をより有効な内容へと再改正する努力を求めたい。(北海道報道部)
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by yurinass | 2008-03-20 16:55
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