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ジャスダック上場「クオンツ」に適時開示の疑念

このままでは新興市場に誰も寄りつかなくなってしまう。

 情報開示に関して、ナスダック上場企業に重大な疑念が浮上している。その企業はクオンツ(6811)。もともとは高級オーディオ製造会社だったが、2005年以降、ファンドの設定や運営、管理などを手がける投資会社に変貌した。投資先は9社。その中には、アーティストハウスホールディングスやオープンループといった上場企業の名もある。

 もっとも、業績や株価は惨憺たる状況だ。2007年3月期の連結売上高46億円に対して、29億円の営業赤字。1998年以降、10年連続で営業赤字である。株価も11円(3月13日)と低迷している。クオンツは第三者割当増資をしたり、株価によって行使条件が変わる転換価格修正条項付転換社債(MSCB)を相次いで発行したりしてきた。現状の発行済み株式数は約2億2000万株。10年前と比べて10倍以上に膨らんでいる。


資金返還を望む内容証明が届く

 この話は1通の内容証明から端を発している。

 昨年12月4日、クオンツに内容証明が届いた。送り主は、クオンツのMSCBを引き受けたファンドの代理人。当時の社長が内容証明の受け取りを拒否したため、代理人は一部の役員にファクスで再送している。そのコピーが手元にある。内容は、MSCBの繰り上げ償還の請求だった。

 2007年5月、クオンツはニッポン・エクイティ・パートナーズ(NEP)に対して45億円のMSCBを発行した。この契約には繰り上げ償還に関する条項があった。普通株式の売買金額が5取引日連続して1000万円を下回った場合、繰り上げ償還を請求する権利を有する――という条項だ。

 現実に、ジャスダックにおけるクオンツ株の売買金額は昨年、9取引日連続(2007年8月28日~9月7日)、そして5取引日連続(9月13日~20日)で1000万円を下回った。それを受けて、NEPは12月4日から60営業日が経過した日を繰り上げ償還日に指定。45億円のうち30億円の繰り上げ償還を要求した。

 株価の変動で転換価格が修正されるMSCB。株価が下落しても転換価格が下方修正されるため、既存株主はともかく、引き受けた投資家にとっては悪くない商品だ。空売りで株価に下げ圧力をかけて、安値で普通株に転換し、市場で売り抜ける投資家も少なくない(MSCBは株価より低い価格で転換できるため、その差で売却益が出る)。だが、クオンツの経営に疑問を持ったのだろうか。2009年4月の償還期日を前に繰り上げ償還の権利を行使してきた。

 この通知に対して、クオンツは当時の社長、山田恭太氏の名前で「意向表明書」を12月7日付で送付している。そこには「平成19年12月4日の後60営業日が経過した日までに、貴社保有の本新株予約権のうち、少なくとも額面3000000000円分(編集部注=30億円)を、額面100円につき金100円で買い入れ償却により償還する意向でおります」と書かれている。

 ジャスダックでは、「上場有価証券に関する権利等に係る重要な事項についての決議又は決定の情報(決定事項に関する情報)」と「経営に重大な影響を与える事実の発生に係わる情報(発生事項に関する情報)」などが適時開示すべき情報と定めている。決定事項と発生事項には具体的な項目が列挙されており、「会社の運営、業務、財産又は上場有価証券に関する重要な事項」も適時開示の対象とされている。

 クオンツの総資産は165億円(2007年12月31日現在)。72億円の有価証券を持つが、現預金は21億円だ。繰り上げ償還に応じるなら有価証券や不動産の売却が必要になる。この規模で30億円のキャッシュアウト。経営に与える影響が少ないとは言えないだろう。

 繰り上げ償還について、取締役会の決議を経て12月7日の意向表明書を送ったのかは定かではない。ただ、「NEPは繰り上げ償還の権利を行使しており、話し合いの余地はない。請求を受けた時点で取締役会を開き、適時開示するべき」とクオンツの関係者は指摘する。クオンツの中野治・現社長は「現在、スケジュールと手続きを詰めているところ。早々に詳細を詰めて開示したい」と語る。ジャスダックは、「個別銘柄については回答できない」と言う。

 今回、焦点に上っているMSCB。マカオでのカジノプロジェクトを進めるために発行したものだ。ちなみに、NEPはロンドンのヘッジファンド、ブルー・クレストが組成したファンド。そして、ブルー・クレストと山田氏をつないだのは、仕手筋との関わりが噂されるある女性である。

 このプロジェクトはマカオにカジノ付きホテルを建てるという構想だが、現状では実現可能性に疑問符が付く。「100人いたら99人は無理だと思うのではないか。山田さんを除いて」とある関係者は言う。当初のスキームは以下の通りである。

 山田氏の事業パートナーである香港の実業家H氏が設立したマカオのF社。このF社が、マカオの不動産開発業者C社から不動産を取得し、カジノホテルの建設や運営を委託する。F社は、クオンツやその子会社で香港証券取引所に上場するサン・イノベーションなどを引き受け先として、3億6000万香港ドル(約46億円)の転換社債を発行している。株式に転換した場合、クオンツはサン社と合わせてF社株式の約75%のシェアを持つことになる。


カジノ建設遅れ、経営内紛、社長は「今は言えない」

 ただ、このプロジェクトには不自然な点がある。

 カジノやホテル建設の許認可はC社が取る計画だが、「必ずしも許認可を取らなくてもよい契約になっている」(別のクオンツ関係者)。この関係者によれば、F社は昨年9月にC社と土地の売買契約を締結した。F社とC社の売買契約を了承したのは山田氏である。

 C社には、手付け金として約2億香港ドル(26億円)を支払った。この時、香港のH氏にも8400万香港ドル(約11億円)のフィーを払っている。さらに、最終的には、H氏が100%所有するF社の株をサン社に売却する契約になっており、その価格は約6億香港ドル(約78億円)である。

 「プロジェクト総額は500億~600億円。そのうちH氏のところに100億円以上も流れていく。許認可が取れる見込みもない。それで、うまくいくのだろうか」と先の関係者は言う。クオンツの中野社長は、「マカオのプロジェクトの進捗については、今の段階では言えない」と口を濁す。

 12月4日の内容証明以降、クオンツは内紛状態にある。12月25日、反山田派のクーデターで山田氏が社長を辞任。北本幸寛氏が新社長になった。ところが、2月15日に監査法人が事業計画の実行可能性を理由に監査契約を解除。2月25日には北本社長が解任されて、中野氏が社長になった。

 クオンツは2003年以降、120億円を第三者割当増資やMSCBで調達してきた。発行済み株数は急増しており、2004年には300円を超えていた株価も今や11円。株式の希薄化を気にせず、資金調達を続けた結果がこれである。

 ライブドア事件や反社会的勢力と関連のある企業の上場――。この数年、新興市場ではいくつもの不祥事が表面化し、個人投資家離れが進む。情報開示の意識が希薄なこの種の会社が野放しでは、投資家も離れるだろう。ジャスダックや証券会社が、こうした会社にきちんと対処できなければ、新興市場は暴走死する。
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by yurinass | 2008-03-14 08:48
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