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by yurinass
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会計を勉強して印象に残った2つのこと

 公認会計士の高田直芳氏に執筆をお願いしている「ITを経営に役立てるコスト管理入門」の2008年3月3日公開コラムで,アスキーソリューションズの粉飾決算を取り上げた。コラムの内容は,公開されている訂正報告書の財務諸表から,粉飾決算/虚偽記載のやり方を事後的に検証するというもの。粉飾決算の手口は,架空売上の計上など「至ってオーソドックス」なものだったと結論付けている。

 情報システムの開発・運用に携わるIT技術者には,会計の細かいルールや経理実務になじみの薄い人が多いだろう。だが,IT技術者である前に一人の社会人として,勤務先や顧客企業がどのような経営状態にあるか,知っておいた方がよい場合も多い。売上高や営業利益の増減といったシンプルな指標からもある程度の情報は得られるが,貸借対照表,損益計算書といった財務諸表の分析手法を知っておけば,その企業の収益性,安全性,成長性などを多角的に判断できるようになる。

 企業情報システムの全体像を理解する上でも,その中核に位置する会計の知識は役に立つ。例えば,日常的な仕訳から会計期間ごとに財務諸表が作成されるまでのロジック,売上や費用の計上タイミングを決める基本ルールを学んでおけば,お金の流れが関係するシステムの設計で,「なぜこうしたロジックが要求されるのか」がすんなりと理解できるだろう。

 筆者は以前,IT技術者向けに会計の基礎知識を解説するeラーニング・コンテンツを作成したことがあり,会計システムの設計・構築を担当しているIT技術者や公認会計士に原稿を依頼し,色々勉強させていただいた。その際,印象に残ったことが2つある。1つは,経理担当者の一番重要な仕事が「資金繰り」だということ。もう1つは,企業が売上や費用を計上するタイミングは「企業会計原則」に基づいて決定されるが,特に費用を計上するタイミングについては,企業の恣意的な判断が入り込みやすいということである。

 前者については,くどくどしく説明する必要はないだろう。帳簿上は売上が順調に増えていても,現金を回収できず取引先への支払いが滞ったら,企業は存続できなくなる。勤め人を長年続けていると,恥ずかしながら,こうした当たり前のことに思いが及ばなくなる。

 後者の「費用を計上するタイミング」の恣意的な判断については,どこまでがセーフで,どこまでがアウトか,いまだによく分からない。一般論としては企業会計原則に適合しているかどうかで判断することになるが,個別の事例については微妙なケースも多い。

 例えば,IT業界では2009年4月からの会計期間において,受託ソフト開発の案件に「工事進行基準」による会計処理が事実上義務づけられる。これはプロジェクトの進ちょく状況に合わせて売上を“分散計上”するというもので,売上に対応する費用もプロジェクトの進捗状況に合わせて,“分散計上”されることになる。だが,ある会計期間の売上に対応する費用がどれだけなのか,恣意的な判断が入り込む余地がある。企業によっては,プロジェクト遅れのリスクを勘案して,プロジェクト進行中の売上は控えめ,費用は前倒しで計上するかも知れない。そうなれば,プロジェクト進行中の損益は実態より悪くなる。

 実際,野村総合研究所はIT業界で「進行基準」をいち早く採用している企業だが,2006年当時,第1~第3四半期に比べて第4四半期の営業利益率が改善する傾向が数年間にわたって続いていたという(関連記事)。関連記事の筆者である東葛人氏はこの原因について,決算期をまたがずに第4四半期に終了するプロジェクトが多いため,第4四半期に計上される売上が増えたのではないかと推測している。

 こうした恣意的な判断は,果たしてどこまで許されるのだろうか。このあたりの“微妙な問題”になると,正直,素人の手には余る。公認会計士など専門家の力をお借りしながら,今後も個別の事例ごとに判断していくことになるだろう。
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by yurinass | 2008-03-06 16:25
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