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内部統制プロジェクト~監査の実務指針を踏まえ、評価設計を~

出展:日本総合研究所ホームページ(http://www.jri.co.jp/)「研究員のココロ (株)日本総合研究所 主任研究員 小坂 真 2008年2月25日付」より

 平成20年4月から導入される、金融商品取引法に基づく、財務報告に係る内部統制報告制度の開始まで、残り1ヶ月あまりとなった。特に3月決算の対象企業については、4月1日からの適用初年度開始に向けて、残された業務プロセス等の文書化作業のほか、初年度のスケジュール策定、体制設計のフェーズに入りつつある。
 昨年10月、日本公認会計士協会より、監査・保証実務委員会報告第82号「財務報告に係る内部統制の監査に関する実務上の取扱い」(以下、監査実務指針と称する)が公表され、監査法人側の内部統制監査に関する具体的な取組み方法についても、徐々に明らかになってきている。直近では、各企業と監査法人との間で、初年度の評価範囲の考え方についての意見交換も実施されつつある模様である。
 この監査実務指針を踏まえて、評価範囲の決定方法に関するいくつかの論点を例にとって述べる。

1 全社的な統制の評価範囲の決定における「僅少な拠点」の判断基準について

 内部統制評価の実施基準2.(2)では、全社的な内部統制の評価範囲として、「財務報告に対する影響の重要性が僅少である事業拠点について、その重要性を勘案して、評価対象としないことを妨げるものではない」とされているが、企業がどのような基準で「僅少」を判断するかが論点となっていた。監査実務指針7(2)で、「監査人は、財務報告に対する影響が僅少であるかどうかは、金額的側面と質的側面の両面から検討する必要がある」とし、量的基準については、一定の数値基準(連結売上高等に占める割合等)に基づく場合には、「除外した事業拠点の合計」が連結ベースでの財務報告に与える影響も勘案しなければならない」とされた。
 このことから、企業側は、事業拠点を量的基準に基づき全社的な統制の評価範囲から除外する場合には、除外部分の合計での影響が「僅少である」ことをチェックしておく必要がある。
 残念ながら「質的側面の検討」の具体的内容については、監査実務指針にも新しい情報は盛り込まれていなかった。量的基準では除外可能であっても、財務報告の数値に関わる虚偽記載が発生するリスク要因が他に存在しないか、「財務報告の判断に密接に関わる事項」等、財務諸表数値以外の虚偽記載に繋がるリスク要因が当該拠点に存在しないか等を中心に検討を行い、「質的にも僅少」なことを、監査人と十分に協議し、確認しておくことが重要である。

2 「事業目的に大きく関わる勘定科目」について

 実施基準は、売上高等の重要性により、全社的な内部統制が有効である場合には、概ね内部取引消去後の売上高の2/3程度をカバーする範囲を持って、重要な事業拠点を選定し、重要な事業拠点については、「企業の事業目的に大きく関わる勘定科目」とそれに至る業務プロセスを原則すべて評価対象とすることとされている。
 実施基準では、一般的な事業会社の場合の事業目的に大きく関わる勘定科目として「売上高、売掛金、棚卸資産」が例示されていたが、特に製造業においては、「固定資産」も重要な勘定科目として定義されるのではないかという議論があった。監査実務指針(3)②アでは、この点について、「製造業や一般的な事業会社の場合は、通常例示されている3つの勘定科目を事業目的に大きく関わる勘定科目とすれば足りる」との見解が示され、製造業で固定資産に関わる業務プロセスを評価対象とするかは、「個別に評価対象として追加する業務プロセス」として検討すればよいとの考え方が、趨勢となってきているようである。

3.事業目的に大きく関わる勘定科目に至る業務プロセスの一部除外について

 2に述べたとおり、事業目的に大きく関わる勘定科目に至る業務プロセスは原則全て評価対象となるが、「重要な事業拠点が行う重要な事業又は業務との関連性が低く、財務報告に対する影響の重要性も僅少である業務プロセスとして評価対象から除外できる」場合がある。この点について、監査実務指針は「各重要な事業拠点で、評価対象から除外した取引種類に関連する事業目的に大きく関わる勘定科目残高が各事業拠点の事業目的に大きく関わる勘定科目残高に及ぼす影響度」もしくは「各重要な事業拠点で、評価対象から除外した取引種類に関連する事業目的に大きく関わる勘定科目残高の合計が事業目的に大きく関わる勘定科目の連結財務諸表残高に及ぼす影響度」のいずれかの方法又は組み合わせに基づき経営者が毎年継続して判定している場合には、「監査上妥当なものとして取り扱うことが適当である」とされた。
 例で述べれば、重要な事業拠点Aの売上高40、同Bの売上高30、連結財務諸表売上高100 として、除外できる残高への影響度基準を例えば売上高の5%とするならば、Aから5%(すなわち2)、Bから5%(すなわち1.5)の範囲で除外するプロセスを選定するか、ABあわせて除外したプロセスを合計し、連結売上高の5%(すなわち5)以下となるような範囲で除外するプロセスを選定するか、いずれの方法も妥当と認められると考えられる。
 この点についても、評価範囲の具体的基準について、監査実務指針の公表により一歩進んだ感がある。

 各企業とも、内部統制の整備作業に追われているところであるが、適用初年度を前に、監査実務指針の内容を吟味し、「自社の評価結果を監査人はどのように監査を行うのか」について十分な検討を行い、また担当監査人と、実施基準や監査実務指針の記載を根拠としてコミュニケーションを行うことが、本制度の初年度評価をクリアする上で極めて重要になってきていると考えられる。
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by yurinass | 2008-03-03 08:12
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