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IT業界における粉飾決算のイロハを事後的に学ぶ

 2008年2月初旬に,アスキーソリューションズ(以下,AS社)の有価証券報告書などに虚偽記載があるとして,同社から訂正報告書が提出されました。同報告書に掲載されている財務諸表数値の概要を示すと図1のようになります。


図1●AS社の2会計期間における財務諸表数値の概要

 訂正理由としては,次の事項が列挙されていました。

(イ)架空売上の計上
(ロ)違約金損失の未計上
(ハ)債権残高の回収


 別に,本コラムでAS社の財務分析を行なおうというのではありません。売上高や総資産が20億円前後では規模が小さすぎて,分析のブレが大きくなります。かといって「兆」単位の大企業では“too big to find”,つまり,大きすぎて粉飾決算の要素を事前に見つけることは不可能です。

 粉飾決算しようという企業の側も必死なのですから,入門書レベルの知識で企業の外側から粉飾決算の気配を嗅ぎ取ろうとしても,ほとんど徒労に終わります。それでは身も蓋もない話になってしまうので,AS社の訂正報告書を参照して,虚偽記載の「イロハ」を事後的に学んでみることにしましょう。


粉飾決算としては至ってオーソドックス

 まず,最終ユーザーの検収を受けずに1億3600万円の売上高を計上して,それを取り消した,とするのが「(イ)架空売上の計上」です。図1において赤く塗った部分がそっくり対応しています。これと表裏の関係にあるのが,「(ハ)債権残高の回収」。すなわち,別会社に仕入代金として1億4700万円を支払い,その別会社を経由して,「(イ)架空売上の計上」に係る売掛金1億3600万円を回収したように見せかけたというもの。

 「(ロ)違約金損失の未計上」は,最終ユーザーに支払った違約金6000万円を特別損失とすることなく,ソフトウエア購入代金として仮装し,無形固定資産へ計上したというもの。図1において黄色で塗った部分に現われています。(ロ)と(ハ)を合計すると約2億円なり。図1において青く塗った部分が対応しているのでしょう。

 粉飾決算の「イロハ」としては至ってオーソドックスです。

 筆者は当初,AS社では「循環取引」が行なわれていたのかな,と推測しましたが,訂正報告書から窺(うかが)い知ることはできませんでした。2006年3月に企業会計基準委員会から『ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い』が公表されているので,循環取引もおいそれとはできない,といったところなのでしょうか。

 循環取引とは,倉庫に保管してある(有形の)商品を動かすことなく,仲間うちで転売していくことをいいます。期末近くに売上高を計上し,翌期に「返品」ではなく「買い戻し」を行なうのが,循環取引を利用した「粉飾決算の超初級編」です。

 有形の商品で循環取引を行なう場合は倉庫保管料が付随するので,それなりの資金負担を覚悟する必要があります。ところが,ソフトウエアの循環取引ともなると,何しろ商品は「無形」ですから倉庫保管料を要せず,消費税に係る資金負担さえ気をつけていれば何とかなる,といった特徴があります。しかも,IT関連の新興企業ともなると,黒字か赤字かよりも売上高の伸びが重視されるので,循環取引に対する誘因は一層強くなるといえます。たまに新聞報道などで目にしますよね。

 AS社の例はオーソドックスな手法といえるので「会計監査を担当していた公認会計士は何をしていたんだ!」という声が聞こえそうですが,公認会計士だって人間。顧問先企業から「タカダせんせぇ~,今回だけは見逃してくださいよぉ」と懇願されたら,「しょうがねぇなぁ」と腹をくくり,「男は一度,勝負するものだ」と腕まくりをして,結局,何度も勝負する慣習が生まれます。

 要は,何かあったときには取り乱したりせず,覚悟を決めておくことなのでしょう。

 ところで,今回「アスキー」という名を聞いて郷愁の念を抱
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いたのは筆者だけでしょうか。筆者が初めて購入したマシンはシャープの「MZ-2000」というもので,「アスキー」という雑誌を買って「もぐら叩きゲーム」を喜々としてプログラミングしたのを,いまでも覚えています。

 キーボードの「Tabキー」の左から順に“QWERTYUIOP”とキーが並んでいることに感動を覚えたのも,その頃でした。これらの一部を組み替えると“TYPEWRITER”。タイプライターを発明した会社が,自らのセールスマンに早打ちの実演をさせるためにキーボードの配列を決定した,というのは昔から語られている話。ジョークという説もありますが,実際のところ,どうなんでしょう。
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by yurinass | 2008-03-03 08:06
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