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会社を永続させるためには?(上)【経営共創基盤CEO 冨山和彦氏(元・産業再生機構COO)】

過大な債務を背負い経営が立ち行かなくなった企業を支援してきた産業再生機構。03年4月の設立後41社を支援、07年3月にその役目を終え解散した。そのCOOとして再生の修羅場に身を起き、時に人間の弱さも見た著者が得た見解は、「会社は頭から腐る」すなわち経営者の重要性だった。「会社を永続させたい」と願う創業経営者必読の一冊である。



挫折し人間を知れ



問 産業再生機構で企業再生に携わる中、様々な経営者を見てきたと思います。支援を受けた会社の経営者にはどんな特徴があったのでしょうか。

冨山 皆さんとても優秀でよい方なのですが、正直言って、経営者になった時点で敵も作る覚悟をしていなかった方が多いと感じました。育ちもよく、挫折に直面せず社内で出世した結果、経営者となり、急に重い責任を負わされてしまった。改善に努めればいい、安定した時代ならそれでよかったんです。しかし今は変化が激しい時代。改善ではなく改革が必要な中、求められるのは覚悟を決めた本当の経営者なのです。

問 本物の経営者になるのに必要なこととは。

冨山 2つあります。第1に挫折です。若いうちに、「本当に自分は食っていけるのか」というところまで追い込まれ、お金を稼ぐことの現実的な大変さを経験しておくことです。一流大学から一流企業に入ると、会社名を見て多くの人が会ってくれます。大学を卒業してから10年くらいは、社会性を身に付けるためにそれもいいでしょう。しかしそれを続けるのが果たしていいものなのか。30代になったら一度自分のやりたいことやできることを考え、リスクを取って「脱藩」することをお勧めします。

問 冨山社長は華々しい経歴をお持ちですが、脱藩の経験は。

冨山 色々思いがあって、就職時に脱藩しました。私は東京大学出身で、周りは皆弁護士や官僚になる人がとても多かった。そういった道に進むのがどうしても嫌で、ボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社したのです。BCGは今でこそ有名な会社ですが、当時はまさに無名の極み。結核の予防接種であるBCGと間違われ「BCGは薬を扱っている会社ですか」と聞かれたことすらありました。
 決められたコースを外れると日本社会は大変です。まずアポが取れなくなる。アパート一つ借りるにしても大変で、「上場企業の社員でないと貸せません」なんて言われたりもしました。しかしそんな経験から、世の中への免疫ができるのだと思います。

問 本物の経営者になるのに、第2に必要なものとは。

冨山 人間を知ることです。私はバブル崩壊後に自分の会社を潰しかけたこと、加えて産業再生機構で再生の修羅場を経験したことで、人間の生き様や経営者の責任の重さを実感しました。「どんな動機付けで人が動くか」など人間を知ることは、経営にとって本当に大切です。例えば、不祥事を防ぐルールを作る時。「何でも書類に残す」というルールを作れば、「書類にアリバイを残せばいい」と業務に手を抜く社員がでるかもしれません。書類は必ずしも不祥事を引き止めることができないのです。経営者がそんな人間的な感覚を理解していないと、意味不明なルールを作るなどして、結果的に企業を破滅に追いやってしまいます。経営者こそ厳しい人間関係を経験し、人間を実感として知っておく必要があるのです。

何より優先すべきは企業の持続的発展



問 産業再生機構はダイエーをはじめ、創業経営者の判断ミスで経営不振に陥った会社も支援してきました。創業経営者が陥りがちな失敗と対応策は。

冨山 2つあります。一つは人間オンチで起きる失敗です。六本木ヒルズにいた某IT企業の社長がそうでしょう。「人の心はお金で買える」と豪語していましたが、その発言はどう経営にプラスになったのか。現実は老若男女様々な思惑があって動くもの。人の心は人望で買った方がいいですよ。彼は人間を認識できない子供、人間オンチだったのでしょう。人間オンチを脱するにはある程度年を重ね、人間を知ることです。
 もう一つは事業継承です。創業経営者に比べ2代目3代目はどうしても能力的に劣ることが多い。創業経営者は「自分の子供は経営者の器でない」と思ったら絶対に会社を継がせないことです。会社の繁栄を第一に考えて、あえて売却してもいいのです。2代目3代目もまた「自分は器ではない」と思ったら会社を継がないこと。競争がない世界で世襲はかまいませんが、経営は容赦ない競争の上に成り立つものです。2代目3代目の能力不足で産業再生機構入りした会社もありました。

問 創業経営者一族が大株主となり、所有と経営を分離することについては。

冨山 そんな立憲君主的なスタイルもありだと思います。その際は2代目以降が大株主として、自分の能力も踏まえた上で企業が発展する方法を冷静に判断することが大切でしょう。

問 企業の不祥事が多いですが、創業経営者の会社に合ったガバナンス(統治機構)はありますか。

冨山 それぞれの会社によって事情が違うので何とも言えません。メインバンクを使う手もあるし、創業経営者一族のモラルが優れているならそれを使う手もある。大切なのはガバナンスがきちんと働き、企業価値が持続的に成長することです。
 織田信長や豊臣秀吉は一代で終わりました。2代目がガバナンスを上手く設計しなかったからです。経営者にしろ、大株主になるにしろ、2代目以降はどんなガバナンスで会社を発展させていくか真剣に考えるべきです。

問 大切なのは企業の持続的発展だと。

冨山 そんな思いから産業再生機構の解散後、経営コンサルティング会社の経営共創基盤を設立しました。経営問題に応じるにしても、そこで働く社員や経営陣と同じ時間軸やリスクを共有し、持続的に企業価値を高めていかないと意味がない。だから我々はクライアントと時間軸を共有するのをコンセプトにしています。



世界レベルの人材は企業家から生まれる



問 この本で一番言いたかったことは。

冨山 経営に関わる人たちにしっかりして欲しいです。産業再生機構で再生に取り組む中、経営者、株主、社員、マーケットで関わる人、いずれも質が劣化していると感じました。ただ、企業家は何とはなしにサラリーマンをやっている人よりずっと苦労をしている。彼らの中から世界に通用する人材や企業が生まれてくると思います。

問 世界に通用する企業を作るには。 冨山 企業家(創業経営者)が世界を意識し、ビジネスモデルを作ることです。ここ10?20年の日本のベンチャーは、ITなど海外のビジネスモデルを日本に持ってきて日本風にアレンジした物か、人材派遣や介護保険など国内の規制緩和に乗って生まれたものが多かった。それでは縮小する国内マーケットでパイの奪い合いに過ぎません。

問 なぜそういった企業が多いのでしょうか。

冨山 日本は国内のマーケットがそこそこ大きくて、ある程度成長できるからです。対照的なのが一国のマーケットが小さく、異なる言語を使う人がすぐ隣の地域にいるヨーロッパです。創業当初から世界を意識しないとやっていけません。だからこそ世界企業が生まれてくるのです。
 日本人が「鎖国モード」に向かっているのも気になります。外資嫌いはいまだ顕在で、米モルガン・スタンレーが全日本空輸のホテルを買ったら大騒ぎする。外国資本はむしろ歓迎すべきです。中国が労働集約から知識集約の産業に移行し、アメリカなどが電子部品や自動車を輸入しなくなったらどうするんですか。食料自給率が低く天然資源が少ない日本は、経常収支が黒字でないと持続できない国なのですよ。日本の繁栄はそんなもろい条件の上にあることを皆が意識し、「海洋国家モード」に切り替える必要があります。
 企業家、もしくは企業家志望の若い世代の人にも、もっと海外に行って欲しいです。留学でも現地で働くのでもいい。海外には目の色を変えて頑張っている人たちがいます。そんな経験が糧となり、日本からソニーやホンダのように世界に通用する企業が生まれると思います。 (和田あずさ)
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by yurinass | 2007-12-10 08:21
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