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by yurinass
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倒産すると社長は悲惨

日本の社長は倒産すると悲惨だ。日本では多くの場合(いや中小企業ではほぼ100%だが…)、会社の借り入れに対して社長が個人として連帯保証させられているので、会社が倒産すると、必然的に個人としても破産する。

 そもそも日本では、企業の経営がおかしくなった時点で社長は家屋敷を抵当に入れて最大限借り入れて、自社の立て直しに突っ込んでいるものだ。だから、倒産時点で残っている財産はほとんどない。だから、倒産すると夜逃げ、家族離散などという悲劇が生まれる。

 従業員の場合、未払い給与は、一応公的機関が立て替え払いをしてくれる制度があるし、失業保険でだいたい直前給与の8割くらいをもらえる。そのため、けっこう余裕を持って次の仕事を探すことができる。その後は、管財人が企業の整理を行うが、ごく事務的な作業であり、社員はほとんど関係ない。

 ところが、社長はそうではない。それこそ身ぐるみはがされてしまう。その後収入があったとしても毎月20万円程度の最低限の生活費以外の収入は、管財人に没収されてしまう。


銀行から狙われた中小企業

 私の友人の社長の倒産話は生々しい(特定されないように時期や業種などを変えてある)。社長にとっても突然の話だった。よもや自社がそのような事態になるとは、想像もしていなかったと言う。

 A社の経営が苦しかったのは事実だった。それもそのはず、顧客から「中国ではこの値段だから…」と原価を無視して価格が下げられる。支払いは「検収後2カ月後締めの4カ月手形」というようなべらぼうな支払い条件でやらされているから、製造着手から、長いと1年半も収入がない。銀行金利が下がったとはいえ、1年半の資金塩漬けはきつい。そのうえうっかりすると、納入後に値下げを通告してくるひどい会社もある。

 そのうえ、当時は大銀行も不良債権問題で相次いで合併を余儀なくされ、その合併後のマンモス銀行すら倒産が噂されていた頃だった。銀行は不良債権の回収に躍起になっていたが、不良債権は「回収できない」から不良債権なのであり、回収できるわけがない。

 そこで狙われたのが、「返してくれ」と言えば何とか返せる力のある中小企業だ。大企業だって返してくれるかもしれないが、後のたたりが恐ろしい(景気が回復してから「あの時はひどいことをしてくれたな!」と脅かされたんじゃたまらない…)。また、大企業はいろいろな繋がりでおエライさんに圧力をかけてくるから、結局回収は難しい。中小企業なら「恨まれたとしても、どうせウチ以外に頼れるところはないだろう」というわけだ。

 むりやり貸し剥がされたA社は資金繰りが悪化し、優良企業がみるみるうちにおかしくなって、ちょっとした資金ショートで倒産の憂き目に遭った。


貸し渋りであえなく倒産

 B社は「貸し渋り」が決定的なダメージとなった。つまり、銀行からの貸付金の減額である。銀行は貸し出し量を減らせと金融庁からきつく言われていた。メーンバンクだった銀行が些細な理由でB社への貸付金を減少させたため、他の銀行も「メーンが減額するなら…」と減額した。

 B社の仕事は決して順調とは言えなかったが、売掛債権は十分にあり、銀行融資額の突然の減額さえなければ間違いなくやって行けたはずだった。しかし、担当銀行マンとの感情的な行き違いもあり、銀行が強硬な態度を貫いた。お得意さんや知り合いに援助を頼んでみたが、当時は皆、自分のことで手いっぱいだった。

 彼が多少なりともラッキーだったのは、(1)倒産の日が事前に予測できたこと、(2)「倒産の日までに準備すべきこと」を知っている人がいて、いろいろ教えてくれたこと、(3)ごく近しい数人以外は「倒産の日」が漏れなかったこと、であろう。

 実は倒産するにも金がいる。無一文では倒産すらできないのだ。彼には友人の1人がアドバイザーになってくれて、従業員のための資金や、倒産後の後始末の費用を確保することができた。今は無一文から再出発して、昔の知識を生かしながら頑張っている。


日本の個人保証システムは考え直すべき

 しかし考えてみるに、企業の借入金に、社長個人の連帯保証を強要している国は日本以外ほとんどない。最近は日本でも個人保証を求めない案件が多少増えてきたようだが、今までの貸付金に対する連帯保証を不要にしているわけでは決してない。あくまで、「新規分については…」である。

 この個人保証があるために、身内以外の人に事業を継がせることが絶望的に難しくなっている。つまり、社長が優秀な従業員を見つけ、白羽の矢を立てて地位を譲っても、銀行が元社長の個人保証を抹消してくれないのだ(新社長といっても「元従業員」では資産がないし、株も大部分は「元社長」一族が所有しているから、「新社長」には担保価値がない)。

 元社長は経営に携わらずに保証だけさせられては不安だし、割が合わない。そのため、結局、自分の子供に後継の座を譲ることになる。

 つい先日、非常に高い技術力を持った有名企業が外資系ファンドに身売りしたが、理由を聞くと外資系ファンドでなければ、個人保証の問題を解決できないのだという。日本産業の将来を考えれば、個人保証に代わるシステムの構築は、長期的視野から考えていかなければならない課題だろう。
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by yurinass | 2007-11-09 08:14
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