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歴史は繰り返す?1990年代前半に起きた“貯蓄貸付組合問題”

■本日の要点

国内市場は米国発の信用リスク懸念から、いまだ波乱の展開が続いています。過去、住宅ローンに絡んで今回と同じようなことが起きていたことから当時を振り返って今回の参考になる点を確認してみたいと思います。


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◇歴史は繰り返す?1990年代前半に起きた“貯蓄貸付組合問題”

国内市場は、依然調整局面から脱却することができずサブプラム問題で揺れる米国市場の動向に一喜一憂する展開が続いています。今後の見通しを考えると、やはり今回の問題の影響がどの程度なのか、具体的には新たに金融機関の破綻や巨額損失などが発生するのかどうか、米経済の成長のエンジン役を担う個人消費に影響を及ぼすことで、消費の落ち込み→経済成長の鈍化という悪いシナリオに向かうのか、注目されるところです。

今回の一連の流れを見ると、思い出すのは1980年台後半から囁かれはじめ1994年年1月にカリフォルニア州オレンジ郡が財政破綻した“貯蓄貸付組合問題”です。

貯蓄貸付組合とは一言で言えば貯蓄と住宅ローンに特化した金融機関ということになります。当時を振り返ってみますと、当時の貯蓄貸付組合は連邦準備制度においてかなり有利な扱いをされていて、銀行に比べて高い利息をつけることができるようになっていました。

つまり、高い利子をつけることで貯蓄貸付組合に資金を集めて、住宅市場の流動性を高めて住宅ローンの貸し出しをおこなわせ、借り手が常に借りられるというものでした。

当時の住宅ローン市場は短期間で一括返済をするか、利息のみを支払い満期時に一括返済をするというものが大半でした。これに対して今問題になっているサブプライムローンは当初数年間の金利を低く抑えたり、利息だけを支払うといったものですので根本的に大きく変わっていません。

このようなシステムが恒久的に債務を負い、連続的に買い替えを行う羽目になるか場合によっては満期での一括返済に失敗して、持ち家を手放さなければならなくなるといったケースを生んでいる訳です。

当時も今回も変わらないのは、“モラルハザード”が発生したということです。モラルハザードとは、貸し手である金融機関が収益を上げることを目的に本来厳格におこなわれるべき貸し出しをする際の審査基準を“甘く”したり、慎重さを欠いて信用力の低い人にまで貸したりすることです。

住宅の価格上昇が続いているうちは、住宅の値上がり分で担保余力が拡大するため、あらたな融資を受けたり、場合によって売却して一括返済しても売却益を得ることも可能でしたが、価格上昇が止まってしまうと、今度は逆転現象が起きる可能性が高くなります。

つまり、一括返済ができなくなることや金利の支払いが滞ってしまうことなどが発生しはじめるということです。

貯蓄貸付組合問題と今回のサブプライムローン問題の“違い”は、不動産、住宅ローンなどの証券化が進み市場が拡大した結果、もともとの資産を持つ保有者や取引を仲介する金融機関、さらに格付けをおこなう格付会社などが受け取る手数料が莫大なものになってしまったことです。

このことから、ビジネスチャンスを期待する金融機関をはじめ投資家にとっては魅力ある市場となり、サブプライム市場へ投資する動きが米国内に限らず世界各国に拡がったことで、今回の問題に絡む損失額や経済に与える影響が膨大なものになったということです。

◇今回のサブプライム問題との相違点

ここで貯蓄貸付組合問題が深刻化した1991年のNYダウの動きを今のチャートと比較してみてみたいと思います。

▼NYダウのチャートはこちら

1991年当時の経済状況と現在では異なるため単純に比較することはできませんが、今後の参考にできることをいくつかあげると、米国の財政赤字は景気の減速と貯蓄貸付組合問題で90年に2204億ドルの赤字となり非常に悪い状態でしたが、その後“ネットバブル”が起きて財政赤字が2000年にかけて一時的に解消された経緯を経て当時とはまったく違う状態になっています。

具体的に企業収益で見てみると、1990年台前半では400億ドル台だったものが、1670億ドルと約4倍にまで拡大しています。

金融業界で見ても当時に比べ現在の金融システムは格段に大きくなっており、金融機関の業務純益(本業での儲けを表す)は年間で5000億ドル(60兆円)に達しています。

したがって、金融業界の規模からすると現時点ではサブプライム問題の影響による全体の損失額がいったいどのくらいなのか不透明であるものの、「金融システム全体に及ぼすほどの規模とはいえないのでは」との見方が大半のようです。

◇結論

貯蓄貸付組合問題の時には事態を解決するために、米政府は「金融機関改革救済施行法」を成立させ整理信託公社を通じて財政出動し、整理・清算をおこなって事態を収拾しました。サブプライム問題について今のところの対応は中央銀行による資金供給での対応となっていますが、今後新たな金融機関の破綻や巨額損失などが表面化したり、全体の損失額が見え始めれば「次の手」が講じられる可能性もあります。

今市場が期待する「利下げ」というカードをいつFRBが切るのかがポイントになる可能性が高いと思っています。

レポート担当:森田 英俊
(朝日新聞)

by yurinass | 2007-08-17 07:56 | 経済状況記事
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