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損失の先送りに過ぎない日航への追加支援

マスコミ各社は、日本航空(日航)が日本政策投資銀行(政投銀)など主力取引銀行に対し、2千億から4千億円規模の資本支援を要請していると報じています。報道によると、日航は、銀行からの借入金を株式に振り返る「債務の株式化」を要請しているようです。

「債務の株式化」とは、別名「デット・エクイティ・スワップ(DES)」と呼ばれるもので、企業の過剰債務を減らすのに使われる手法です。企業は株式を銀行に引き取ってもらった額と同額の負債を減らすことができるため、財務基盤を安定化させることができます。銀行にとっては、借入金が棒引きされることになりますが、単に債務を放棄するわけではなく、融資先の株式を保有することになりますので、仮に企業の建て直しに成功すれば、株価の上昇などを通じて利益を得ることも可能となります。

ただ、日航は今年の2月に再生中期プランを発表し、4月から実行に移したばかりです。そして政投銀などの4行は、再生中期プランで日航が再建されることを前提に、3月末までに1200億円程度の追加融資を実施しています。このため、政投銀をのぞく銀行は、プランがスタートして間もないにもかかわらず銀行に追加支援を要請する日航をまともに相手しておらず、かなり反発していると報道されています。それにもかかわらず、唯一政投銀が日航の追加支援に興味を示すのは、自らの赤字を回避するためと言われています。

銀行は、融資先の経営状況が厳しくなると、貸し倒れのリスクが高くなったと考え、融資金額の一部を損失として引き当てる必要があります。すでに日航に融資をする銀行の一部は、日航向け融資の評価を引き下げ、引当金を積んでいるといわれています。仮に日航の経営状況がさらに悪化するようなら、政投銀など日航に融資をする銀行は、さらに引当金を積む必要が出てきます。

特殊法人である政投銀は、2008年に株式会社となり、2010年には完全民営化されることになっています。このため、今年度は、民営化前の最後の決算期であり、赤字はできるだけ避けたいところです。ただ、政投銀は、すでに日航に3千億円ほど融資をしています。政投銀の過去の経常利益は、600~700億円程度ですので、仮に日航向け融資の2割を損失として引き当ててしまうと、それだけで赤字となってしまいます。

政投銀が日航向け融資の引き当てを回避するには、日航向け融資を減らすのが効果的です。かといって、政投銀が融資を引き上げてしまうと、日航は倒産し、融資を回収することが難しくなります。しかし日航向け融資を株式化(DESを実施)すれば、政投銀が有する融資は圧縮され、多額の引当金を積む必要もなくなります。つまり日航の追加支援としてのDESの実施は、日航だけでなく政投銀にとっても都合の良いものといえます。

ただ、DESを実施すると、融資は株式に振り返られるため、企業が倒産してしまうと、銀行が差し出した金額は全額回収不能となります。おそらく政投銀は、日航が倒産しないとの判断のもと、DESの実施に前向きな姿勢を示しているのかもしれませんが、こうした判断は、政投銀の損失を先送りしているだけなのかもしれません。

村田雅志(むらた・まさし)
http://www.gci-klug.jp/より
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by yurinass | 2007-05-25 07:23 | 経済状況記事
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