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by yurinass
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小売り再編メガ連合の衝撃(下)メーカー・卸募る危機感。

 「アパレル業界も厳しい条件を突き付けられるだろう」。中堅婦人服メーカー、ルックの広田夏彦社長は大丸と松坂屋ホールディングス(HD)の経営統合による影響を危惧している。
 広田社長らアパレル経営者の脳裏をよぎるのは二〇〇三年の出来事だ。西武百貨店とそごうの経営統合で発足したミレニアムリテイリングはアパレル各社に対し、そごう横浜店(横浜市)への納入価格を、最も安い西武池袋本店(東京・豊島)の水準に下げるよう要求してきた。大丸・松坂屋が同じ動きに出たら、影響はさらに大きい。
 メーカー側はメガ(巨大)小売りの台頭で納入価格引き下げ圧力が強まると身構える。特にイオンとダイエー連合は加工食品や日用品の調達額が一兆円を超え、全国シェア一〇%を握る。メーカーごとの差を出しにくい商品だけに、仕入れ共通化による調達コスト削減の余地は大きい。
 清涼飲料業界はこの十年間で市場規模が数量ベースで約六%成長したものの、コカ・コーラなど大手五社の市場の寡占度は一二・七ポイント増の七六%と高まっている。清涼飲料は年間で一千種類以上新商品が発売され、店頭での陳列棚の奪い合いが激しい。ブランド力や販促投資などの資金力に劣る中小メーカーがふるい落とされつつある。
 実際、国内販売数量が前年比一%減だった〇六年は、サッポロ飲料(八%減)、ポッカコーポレーション(八%減)など中堅クラスの落ち込みが大きかった。
 「(外国企業による)外圧が働きにくかった食品業界に内圧がかかってきた」。味の素の山口範雄社長は、川下の小売りから川上のメーカーへの風当たりの強さをこう表現する。
 メーカーと大手小売りに挟まれた卸業界の危機感はさらに強い。仙台市が本社で食品トレーなどの包装資材卸大手の高速は近年、M&A(企業の合併・買収)を全国規模で進めている。〇七年三月期はすでに三社を子会社化した。高速のM&A担当者は「持ち込まれる買収案件が増えている」と再編機運の高まりを実感している。
 〇四年の商業統計によると、卸売業の事業所数は三十七万五千二百六十九拠点で、一九九一年に比べ一八・七%減少した。卸の集約化が進むなかで、卸を通さずメーカーとの直接取引を増やすイオンの勢力拡大が卸再編を加速させる。食品卸最大手の国分でさえ、「(イオン・ダイエー連合による)六兆円の年間売上高を武器にした購買力は脅威」とみる。
 メガ連合の誕生は産業構造の新陳代謝を促すだけでなく、後継者難など先行きに不安を覚える企業の淘汰も促す。
 ドラッグストア業界では、ツルハホールディングスの鶴羽樹社長が「四―五年で大手五社程度に集約される」という見方から積極的な買収攻勢を仕掛ける。四月に信陽堂薬局(千葉県鴨川市)から十一店を買収。五月には首都圏で約百二十店を運営する、くすりの福太郎(千葉県鎌ケ谷市)を完全子会社にする。
 ツルハに買収される企業の経営者は、規模の時代を迎え先行きに不安を覚えた面が強い。中小企業のM&A仲介の日本M&Aセンターによると、案件の大半は後継者難を理由にしており「中でも流通企業が目立つ」(分林保弘社長)という。
 国内の消費市場は地域性も強く、規模の拡大だけで生き残れる保証はない。ただ、グローバル化の時代に「企業は規模を目指すか、すき間を目指すかの選択を迫られる」(日本マクドナルドホールディングスの原田泳幸社長)のは確かだ。

by yurinass | 2007-03-19 08:25 | 経済状況記事
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