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企業再生ファンドは、投資した会社の経営権を握り、役員を送り込んで再建を進めるケースが多い。大株主という強力な権限を背景に、事業売却や他社との合併などを短期間にやり遂げるのが特徴だ。そして企業価値が上がってから、他の会社に株を売却する。
産業再生機構出身者が中核の再生支援会社は、企業再生そのものを目的としている。助言手数料を稼げるほか、将来のM&Aが成功すれば、その報酬も期待できる。企業と一体となって長期でリスクを取る戦略だ。 想定する支援対象企業は、業績が低迷する大企業、地方の中小企業、急速に発展したが経営ノウハウが乏しいベンチャー企業など。景気回復と銀行の不良債権処理の終結で、大型の過剰債務企業の再生案件が減っているが、まだまだ企業再建のニーズはある。 課題は再生機構とは異なり、法的な拘束力を持たないことだ。融資銀行など債権者に債権放棄など私的整理を頼んでも、すんなり応じるかは不透明。どんなに企業と一体になっても、債権者の理解を得られないと再建は実現しない。その説得が再生支援会社の成否のカギを握っている。 再生機構はダイエーなど四十一件の再生を果たし、財政の収支も三百億円台の黒字になった。加えて機構出身者が企業再生ビジネスを支えるようになった。この「プラスの遺産」は機構の第三の成果といえる。 最終的に売却益を稼ぐ狙いの再生ファンドでも、企業の立場を第一に考えたファンドが機構出身者を核に現れている。 執行役員だった立石寿雄氏が〇五年秋に設立した「ネクスト・キャピタル・パートナーズ」がその先駆けだ。経営不振企業や破綻企業への投資に特化する。立石氏は「どんな景気局面でも一定比率の不振企業が存在し、再生ファンドの果たす役割がある」と話す。 福島県郡山市のうすい百貨店を担当した木村貴則氏は〇六年春、流通業専門のファンド「クアトロ・エクゼキューションズ」を立ち上げた。小売業の退職者を中心に人材バンクを組織して、企業に「ヒト・モノ・カネ」を送り込む。木村氏は「うすい百貨店での経験で、投資だけでは企業は絶対に良くならないことを学んだ」と話す。 再生機構のDNAがいまも産業界の改革を支えている。
by yurinass
| 2007-03-19 08:22
| 経済状況記事
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