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by yurinass
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第4部M&Aが忘れたもの(5)ゴールでなくスタート(株主とは)

 愛知県武豊町。名古屋駅から電車で三十分余りの静かな町が揺れている。製薬世界最大手の米ファイザーが同町にある中央研究所を閉鎖すると発表したのだ。世界で従業員の一割にあたる一万人を削減するリストラの一環だが、二十年以上の歴史を持ち四百人が働く研究所にとっては寝耳に水。工場地帯の真ん中にある研究所に出勤途中の三十歳代社員は「はしごをはずされた思い」とこぼす。
リストラの余波
 ファイザーはM&A(企業の合併・買収)の申し子。二〇〇〇年に米ワーナー・ランバート、〇三年に米ファルマシアを買収して世界の頂点に登りつめた。しかし新薬獲得を狙った買収攻勢は不発気味。主力薬品の特許切れに備えてリストラを決断、その余波が日本にも及んだ。
 世界的なM&Aブームの陰で、過去の大型M&Aのつまずきが続く。一九九八年に誕生し、「世紀のマージャー(合併)」と呼ばれたダイムラークライスラーは今や「ディ・マージャー(解体)」の危機にひんする。〇二年に日本エアシステムと経営統合した日本航空も業績低迷にあえぐ。国際会計事務所KPMGが米企業のM&Aを調べたところ、合併・買収後の株式時価総額が、それ以前の合計額より下がったケースが全体の七割にのぼった。
 それでも激流は止まらない。
 二月二日、ソウル。世界最大の鉄鋼会社ミタルの役員ローラン・ユンク(51)が、韓国最大手ポスコの最高経営責任者(CEO)である李亀沢(イ・グテク、61)と会談した。買収に次ぐ買収で世界首位に駆け上がったミタルの接近。ポスコの株価は一時急騰した。「何が狙いなのか」。ポスコと株式持ち合いを強化したばかりの新日本製鉄関係者は身構える。
巨人信仰の果て
 国境を超えた大競争、加速する寡占化、株式市場からの催促、三カ月ごとに結果を求められる四半期業績開示の定着――。経営者をM&Aに駆り立てる材料には事欠かない。
 グローバル競争に直面する企業は、生き残りには一定規模が必要という「クリティカルマス」の強迫観念にとらわれてきた。九〇年代後半、医薬業界では「世界シェアが五%に届かないと脱落する」といわれた。自動車でも「年間販売四百万台が最低ライン」という四百万台クラブ説が流布した。巨人信仰につかれた経営者は規模追求に走り、株主も同じ夢に酔ったが、先頭ランナーのはずだったファイザーやダイムラーはいまや壁に突き当たる。
 一月末、東京電力など電力大手の株価が軒並み昨年来高値を更新した。材料視されたのは、欧州を舞台にした電力会社の買収戦。電力でも国際再編が始まるという思惑から電力株が買われた。地味な公益企業でさえ、市場は「M&A銘柄」とはやす。投資ファンドが日本に投じる予定の資金は四兆円を超えた。経営者がその気になれば、おカネは後からついてくる。
 もちろんM&Aがすべて失敗するわけではない。JFEホールディングスやエクソンモービルのように収益や時価総額を大幅に高めた例も多い。むしろ忘れてならないのは「M&Aは合意の後が重要」という古くて新しい事実だろう。
 産業界で最近「PMI」という言葉が話題にのぼる。ポスト・マージャー・インテグレーション(合併後の統合計画)。交渉中から、合意後の統合作業の進め方を詰めておくことが重要という考え方だ。昨年の日本企業絡みのM&Aは約二千七百七十件。一日に平均七・五件が合意した。しかし交渉合意は、仲介役の投資銀行にとってはゴールだが、経営者にとってはスタートにすぎない。
 ダイエーに一五%出資するイオン。九日の記者会見で社長の岡田元也(55)は「(成功できるかは)一にも二にもヒト」と語った。店舗や情報システムといった有形資産だけでなく、異質な企業文化をいかに融合させるか。「見えない統合」がM&Aの成否を分け、株主価値を左右する。(敬称略)
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by yurinass | 2007-03-16 12:35 | 経済状況記事
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