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by yurinass
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第4部M&Aが忘れたもの(3)守られるべきは誰か(株主とは)

 「ご心配をおかけしました」。日興コーディアルグループの都内支店は東京証券取引所が上場維持を決めた翌十三日、顧客への対応に追われた。
個人にも安心感
 自らも店頭に立った四十代のベテラン支店長は忙しかった一日の終わりに、ようやく自社の株価をチェック。終値は前日比八十六円高の千四百九十円。「まだやるべきことは山積みだが、ホッとした」。株価の上昇が、営業の最前線につかの間の癒やしを与えた。
 上場維持が決まったことで、多くの投資家が日興株に戻ってきた。上場廃止になれば流動性が下がることなどを嫌い、投資を見送ってきた機関投資家からも「通常の銘柄と同じに考えたい」(みずほ信託銀行の年金運用担当者)との声がもれた。いつでも自由に売買できる安心感から、個人のお金も流れ込んだ。
 上場の維持か廃止かで揺れる企業の株主にとって、売買の機会が制限されることが最大のリスクの一つ。逆にいえば、証券取引所が上場廃止に踏み切るには、投資家保護の観点から株式を処分する機会を与えることが必要条件だ。上場廃止が決まった企業が一カ月間、「整理ポスト」という特殊な場で売買されるのはこのためだ。
 現実には、売れない株主や、最後に高値で買ってしまう投資家はいる。
 「売却したい株主は売却できる期間が準備されている」。昨年三月十三日、二十万人超の株主がいたライブドアの上場廃止を決めた際、東証社長の西室泰三(71)は言い切った。だがその後の臨時株主総会には、処分の機会を逃した個人株主が足を運び、経営陣への怒号の輪に加わった。
 二十万人は多すぎたかもしれない。そして今度は十万人。日興株の上場問題を考えるうえで、各証券取引所は昨年十二月末に十万人弱だった同社の株主数を意識せざるをえなかった。「東証より早く上場維持を決めた」とする大阪証券取引所社長の米田道生(57)は東証の上場廃止観測が強いなかで「個人投資家の自由な売買の受け皿になろうと思った」と振り返る。
 日興の場合は、M&A(企業の合併・買収)への思惑も問題を複雑にした。
 「国内外の有力金融機関が買収に乗り出す」との見方が広がり、転売を目的にした外国ファンドが年明けから続々と取得に動いた。こうしたファンドの動きをまねて、監理ポストの日興株に買いを入れる個人投資家も多かったという。
 彼らは「平時」に購入した株主とは異なり、思惑に乗って利益を得ようとする「監理ポスト株主」だ。
 破綻していない企業が上場廃止になる場合は特に再編の思惑などが働きやすく、国際的なM&Aの隆盛に伴い今後増える可能性がある。多数の監理ポスト株主への配慮で上場廃止が難しくなるようならば、企業は市場から退出させられる危機感が薄れ、市場が一種のモラルハザード(倫理の欠如)に陥ってしまう。
 上場廃止制度の背景には「株主の保護」の考え方がある。ただし、同じ保護でも株主の種類を分けて考えないと混乱する。
 虚偽の財務情報を信じてしまった「過去の株主」。監理ポスト株主のように、虚偽を分かったうえで投資する「現在の株主」。そして、投資の初心者をはじめ新たに市場に入ってくる「未来の株主」。
 野村資本市場研究所の研究主幹、大崎貞和(43)は「最も守るべきは未来の株主」と強調する。
 市場を育てていくうえで最も重要な株主のために、過去の株主への罪を企業に問うのが、上場廃止制度の趣旨ではないか。その過程で生じた現在の株主には、自己責任が求められる。
高まる見直し機運
 日興の上場問題を機に注目が集まった上場廃止制度には見直し機運も高まっている。市場からの退出をいきなり迫ることだけが、過去の株主を偽った罰として適切でない場合もあるからだ。取引所が自ら企業に課徴金を求める制度も今後はできるかもしれない。
 どんなに制度が変わろうと貫く考え方は同じ。未来の株主が安心して入ってこられるような市場にすること、である。(
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by yurinass | 2007-03-14 07:41 | 経済状況記事
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