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by yurinass
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M&Aの奔流(4)ブリヂストン―海外事業てこ入れ課題(会社研究)

 「このままでは取引先を失ってしまう」。ブリヂストン米国法人のトラック・バス用タイヤの担当者は危機感を募らせていた。昨年秋までに、大口顧客のうち複数が取引中止をにおわせてきたからだ。理由は自前の再生サービスを持たないことだった。再生タイヤを使えば費用が削減できるため、欧米の物流会社で需要が急拡大している。
 劣勢の回復を狙って昨年十二月、再生サービス最大手の米バンダグの買収を決めた。買収額は約千二百億円。約三千三百億円をつぎ込んだ一九八八年の米ファイアストン以来の大型案件となる。買収を機に、アジアや中近東でもサービスを展開していく計画だ。
 「タイヤ業界はもうかりにくい環境になってきた」(荒川詔四社長)。原料高が続く一方、海外では安価な中国、韓国製品の台頭がめざましい。市場が高性能品と汎用品に二局化し「当社が収益源にしてきた中間価格帯が圧縮されている」(同)。二〇〇六年十二月期の連結営業利益は千九百八億円と前期比一一%減少。乗用車タイヤの販売本数も北米は六%減、欧州も横ばいだった。
 海外の収益力の弱さは長年の課題でもある。前期の売上高営業利益率は米州(中南米含む)、欧州とも三%台。五割近いシェアを背景に高い収益を上げる国内(九・四%)を大きく下回る。国内需要は中長期的には頭打ちが予想され、成長が続く海外市場のてこ入れは不可欠。バンダグ買収はその布石の一つだ。
 ただ利益率の底上げには時間がかかりそう。昨年十一月には前期を初年度とする中期計画の見直しを発表。目標の売上高純利益率五%(前期は二・八%)の達成時期を従来計画から二年遅れの一〇年十二月期とした。荒川社長は「原料価格は操作できない。利幅の厚い戦略製品を伸ばして利益水準を引き上げる」と基本戦略を語る。このため当面は製造設備、販売・開発への先行投資がかさむのが修正の理由だ。
 戦略製品の核に据えるのがパンクしても一定距離が走れるなど高性能の乗用車タイヤ、大型建設機械や航空機用特殊タイヤなど。設備投資は一一年十二月期まで年二千五百億円と、従来計画から五百億円上積みした。増額分はすべて戦略製品に充てる。今年後半には二百八十五億円を投じ、北九州市に大型建機用タイヤの新工場を着工する。
 一般の乗用車、トラック・バス用では昨年末に中国とブラジルで新工場が稼働。〇九年上期にはポーランドでも立ち上げる。投資の採算性を考え「人件費が高い先進国ではこれ以上、新工場建設は考えていない」(荒川社長)。新設の一方、老朽化した汎用品工場は閉鎖を検討する。昨年は米オクラホマ工場、チリのコキンボ工場を閉じた。
 販売面でも手を打つ。米国に二千二百店、欧州に千六百店ある系列店舗網の整備だ。店舗数を増やすだけでなく、高性能品の購買層が多い大都市近郊への移転や、店構えの高級化も進める。海外でのブランド価値を高めるため、推定で年二百億円規模のモータースポーツへの支出も続ける。
 モルガン・スタンレー証券の垣内真司アナリストは「資金力をいかして競合他社に決定的な差をつける戦略だ。同規模の仏ミシュラン以外は対抗できない」と話す。
 ファイアストン買収時、荒川社長は社長秘書として意思決定の過程をつぶさに見てきた。買収後しばらくは赤字体質が続き、〇〇年には大量リコール問題の処理に追われた。北米事業が黒字回復したのは〇五年。荒川社長は「投資採算では間尺に合わないが、あの買収がなければ今の当社は存在しない」と言う。欧米の製販網を手に入れ、世界シェア首位の足がかりになったのは確かだ。
 九九年十二月期に一一・四%のピークを付けた売上高営業利益率は前期で六・四%。売上総利益率もこの間、三八・八%から三三・〇%へと大幅に低下した。事業規模を拡大し売上高を伸ばしても、それに見合った利益がついてきていない。
 財務体質の悪化をいとわない先行投資が、今後数年は利益成長の重しとなる。将来の飛躍に向け一時的に身をかがめるだけなのか。台頭するアジア勢との競争も激化しており、中期目標の達成が一段と遠のくリスクも否定できない。
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by yurinass | 2007-03-05 10:03 | 経済状況記事
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